2003日消連第48号
2004年1月21日

内閣府国民生活局消費者調整課 御中

東京都新宿区早稲田町75 日研ビル2階
日本消費者連盟
代表運営委員 富山洋子

公益通報者保護法案(仮称)骨子(案)に対する意見書

 2003年12月11日公表された「公益通報者保護法案(仮称)骨子(案)」(以下、骨子案という)に対して、求められている意見を述べる。

1.目的について
公益通報者の保護を目的とする法であるから、結語に「法令の遵守を図る」を目的とすることは、本来のこの法案の目的を歪めることになる。「法令遵守のほか、国民の生命、身体、財産、その他の利益の保護のため、公益通報者を保護する」と本来の目的を明確に明記すべきである。

2.定義について
(1)公益通報
保護される公益通報の範囲が限定されていて、実際に公益通報をする場合に、通報者が通報内容、通報要件、通報先などについての要件を確かめることが難しいため、萎縮効果を与えることになる。これは、この法案の目的に添わないと考える。犯罪行為等の事実が生じ、叉は生ずるおそれがある旨を通報する事しか、公益通報として保護されないことは、公益通報を矮小化してしまうことになる。公益に反する行為は犯罪行為等だけではない。公益通報の原則は、その動機を問題にするのではなく、通報された情報がどのような情報であるのかで公益通報か否かを判断されることにある。
(2)公益通報者
労働者に限定すると、雪印食品の牛肉偽装事件の例にみるように、通報者は取引先の倉庫会社の社長で倒産に追い込まれたが、このような場合、社長等取引業者自体も公益通報者に含めるべきである。
(3)犯罪行為等の事実
(1)でも述べたが、犯罪行為のみに限定していることは問題である。犯罪行為であるかどうかは、通報の段階では判断できない悪質な行為が民事訴訟、刑事裁判で犯罪とされることが多い。医療ミスのケースが例としてあげられるが、通報の際に、その事実が犯罪行為に該当する可能性があるとして保護される通報の対象になるのか。別表に掲げるものでは公益通報の対象を限定しすぎて、公益通報を制限してしまうことになる。英国の公益開示法では、犯罪行為は通報対象の一つの類型としてあげられているに過ぎない。このほかに法的義務違反、裁判の誤り、個人の健康や安全の危険、環境の破壊、情報の意図的な隠蔽を英国法では通報対象範囲としているが、消費者・市民など一般人には納得のいく公益通報である。

3.公益通報者の解雇の無効等
ここで問題となるのは、通報対象を犯罪行為に限定し通報先も制限したことから生じる煩雑な規定ではないかと考える。処分権限を有する行政機関への通報については、誤った場合は適切な行政機関を教示することになっているが、このような手続き中に外部へ通報内容や通報者名が漏れないという保障がなく通報を萎縮させる不安要素として問題がある。行政機関の場合は独立した機関による通報の受付、調査を行う方がよい。

まとめ
これまで日本の法案の言語表現は、独特の様式に則ってきたものが、いくらか改善の方向にあるといわれる。公益通報者保護法案は新しい社会理念に基づいた、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護のために、公益通報者を保護するという目的のもとに制定されようとしているものである。それ故に、この骨子案の言語表現は一般人に理解されることを考慮したものになることを期待する。

以上