2000年9月13日
プレス リリース
未承認品種検出問題の現状
農水省とキャンペーンとのやりとりについて<スナックコーン菓子から未承認品種が検出!>
1999年7月にキャンペーンが第1回目として行なった、スナック菓子の分析で国内未承認品種(Mon830/831/832,DLL25,MS3 )が検出されました。米国で生産が認められている組み換えコーンの品種は日本より多くあります。米国からは、日本で承認されていない品種も選別されずに輸出されてきます。
市販のスナック菓子に未承認の組み換え体が入っていないかどうかを調べるため、キャンペーンの依頼で、品種特定できる高度な検査技術を有する検査会社であるジェネティックID社が検査した結果、未承認品種が検出されたのです。このことによって日本では未承認品種が厳密に区分されずに流通している可能性が高いことが明らかになったのです。<キャンペーンから厚生省あて申し入れ ”99. 7/30 >
厚生省は「組み換え食品は、厚生省のガイドラインに基づき、日本で流通するものは安全評価指針適合確認を行ったものであり、表示も不要」と説明してきました。しかし、実際は未承認品種が検出されたことは紛れもない事実です。
そこで、キャンペーンは1999年7月30日付で、厚生大臣・農水大臣あてに検査会社からの「分析結果報告書」を添付の上、「米国政府に厳重に抗議すること、未承認品種の原料の流通禁止と回収措置をとること、ガイドラインではなく規制法を制定すること」など未承認品種が流通しない体制をとるよう要請する文書を提出しました。(資料1)<農林水産省農林水産技術会議事務局長からキャンペーンあて資料提出要請 ”99. 8/25>
ところが、農水省は、1999年7月30日にキャンペーンが発した申し入れには答えず、農林水産省農林水産技術会議事務局長から、キャンペーンあてに、『関係資料の御提供のお願い』(平成11年8月25日付11農会第1765号)を出してきました。(資料2)その内容は、検査技術の詳細に立ち入った、企業秘密に触れる部分を含むデータを提出するようにというものでした。農水省は検出された未承認品種のうち、モンサント社の品種に関して、「モンサント社が『商品栽培をしていない』と主張しているから、未承認が検出することはあり得ない。(キャンペーンに)検査データの詳細を提出させて、これを検証してからでないと対応はできない」として、口頭で、データの提出を要求してきました。<日本モンサント社からキャンペーンあてに厚生省・農水省に資料を提出するよう内容証明送付”99. 8/24>
一方、8月24日付で、日本モンサント社からも同じ内容で「データをキャンペーンから農水省、厚生省に提出することを求める」文書が内容証明郵便で送られてきました。<キャンペーンから農水省あて回答>
キャンペーンは、9月16日付で中川農林水産大臣と農林水産省農林水産技術会議事務局長あてに「データ提供に関しての当方の見解は農水省技術会議事務局の木下氏および田部井氏との電話のやりとりで既に伝えてあること」「農水省が請求しているのに、資料が提出されないので、なにも対応できないというのは、問題の本質をそらして、問われている行政責任をキャンペーンに転嫁するものではないか」として、当方の見解に添えてあらたに質問をしました。
その内容は、@未承認の流通を許す現状への法的対応がなされないのはなぜかA未承認が日本で検出されないとする根拠は何かBジェネティックID社の技術内容について、データから検査能力を判定することができる検査機関はどこであると農水省は考えているのかCモンサントとジェネティックID社は中立的第三者機関への提訴を合意し、欧州委員会のJoint Research Cennterを指定しているが、農水省はこのことに対して異議があるのかDGM開発企業に対して、生産国で認められたGM品種のプライマー情報を、輸入国の検査機関に提供させ検証を可能にさせるべきであると考えるが、農水省はどう考えるのか、などです。(資料3)<99年3月31日、厚生省・農水省の合同記者発表>
2000年3月31日に、厚生省と農水省は、キャンペーンの申し入れや疑問に答えることなく、「スナック菓子から我が国で安全性未確認の遺伝子組み換えトウモロコシが検出されたという消費者団体の指摘に対する調査について」ということで記者発表をしました。両省の検査結果では「組み換えトウモロコシが含まれている可能性はないと判断された」と結論づけられています。
検査したのは、厚生省国立医薬品食品衛生研究所と農林水産省食品総合研究所です。前出田部井氏が、月刊誌『食品工場長』の2000年6月号で述べられているところによれば、消費者団体から発表のあった日に、スナック菓子の製造元の協力を得て、ただちに指摘されたのスナック菓子と同一ロット、またはきわめて近いロットのスナック菓子を入手して混入についての検査をおこなったということです。結果、Mon830/831/832,MS3は1997年に商品開発を中止しているので商業栽培されることはないと、99年9月に米国政府から入手したとのことです。また、DLL25 は米国でわずかながら栽培されている可能性は否定できないということでした。
「最終的な分析結果として、Mon830系統、MS3 、DLL25 の存在を示す特異的なPCR産物は得られなかったことなどから、消費者団体がしたような安全性未確認の遺伝子組み換え農作物は利用されていないと判断した」とされています。(詳細については資料4)<未確認コーンについてのキャンペーンの見解>
しかし、具体的なデータが公開されていないため、どの程度微量なものまで検査したか、検査水準がわかりません。農水省は表示問題で、意図せず混入する限度を大豆が5%とし、その他のものについては、検査が難しいからと数値を示していません。この検査では、どの程度を混入水準とされたのかわかりません。(資料5)(参考資料@リポート1113・1114合併号)
キャンペーンの検査で検出された未承認トウモロコシは、米国においては、農務省より栽培認可(一般圃場での栽培が自由に行なえる)が行なわれた品種です。これらの品種について「試験栽培」という言葉がよく使用されていますが、試験栽培とは、安全審査において行なわれる隔離圃場や区分圃場での評価検査以外に、実際には、政府の認可がおりた後、商業的な栽培のための商業化試験や種子生産目的での栽培なども含まれます。従って「試験栽培」には、当然大規模なものも含まれることになります。
「当該品種は、商業生産されていない」というモンサント社の回答においては、米国農務省の認可後、いかなる商業化への栽培試験がされたかの情報はありません。また、このような商業化目的での栽培試験は、なんら隔離されたものでもなく、(認可が下りており隔離の必要がもともとない)一般作物としての市場への流出を防ぐための対策もありません。
もし、政府の認可が下りた後でも、厳重な隔離栽培試験・回収が行われているのであれば、当然その詳細についての記録があるはずですし、また、一方で一般栽培認可が下りた上で、なぜ隔離栽培試験が必要なのか疑問です。
この点からも、キャンペーンの検査で検出された未承認トウモロコシは、「米国内では、未承認ではなく、商業生産認可が下りたものであり、一般栽培可の商業化許可済み品種」であることから、大規模商業生産への「試験生産・試験栽培」の有無や詳細が不明な限り、「隔離圃場で試験栽培されたもの」という主張は、何ら根拠のないものです。
一方、米国政府により栽培許可が下りた遺伝子組み換え作物は、米国で自由に栽培・流通が可能です。各認可品種ごとの栽培や流通についての、いかなる区分管理や記録も保持されていません。そのような状況下では、米国で栽培許可され、商業生産・流通されている「遺伝子組み換え作物」が日本向けの輸出貨物に混入しないための方策はありません。米国政府自体が規制する法的根拠のない中で、いかなる根拠をもって、「未承認品種は日本では検出されるはずがない」と主張するのか、合理的な説明、証拠はありません。<キャンペーンの検査運動その後>
キャンペーンでは第1回以降もスナック菓子(参考資料Aリポート1096号)、ベビーフード・パパイア(参考資料Bリポート1097号)加工トマト(参考資料Cリポート1107号)などの検査を行ってきました。そして2000年5月に、飼料で未承認のものが再度検出され、未承認の流通を許す現状が全く改善されていないことが再度露呈されたのです。<畜産飼料から未承認品種が検出された問題について>
キャンペーンが「畜産飼料から未承認品種が検出されたこと」を記者発表した翌日の、2000年5月26日に農水省からキャンペーンあてに「飼料からの未承認品種に関する検査データの提出の要請」がなされました。(資料6)
5月30日、参議院議員会館で農水省・厚生省とキャンペーンとの間で会談の場がもたれました。この中で、農水省の担当官は「未承認品種は日本では検出されるはずがない」との確信の下に、「未承認品種が流通しないための取り組みは、一切なされていない」と発言しました。
キャンペーンは6月8日に農水省畜産流通飼料課において、課長補佐吉田稔氏と面談しました。その席上で、農水省からデータ提出要請があった全ての項目について詳細に回答するとともに、改めて、農水省に質問をしました。(資料7〜添付書類については重複するため略)
吉田氏はキャンペーンとのやりとりの中で、以下のように回答されました。
Q1.これまでに輸入や使用を認めた飼料に関して、安全評価のシステムとして、どのような方法でどのような品目を認めたのか。
A1. 輸入を認めるかどうかは、安全性についての指針に適合するかどうかの確認作業。遺伝子組み換えに関しては、既存のものとどうかという実質的同等の考え方。会社が確認を申請したデータを農業資材飼料審議会からのガイドラインで適合するかどうかを見て、「確認した」と手紙を送る。96年はナタネ13件、コーン7件(今回問題とされたDBT418は近く承認がおりる予定)、ワタ4件、大豆2件、ビート1件。
Q2. 遺伝子組み換え飼料の流通に関して、どのように監視、指導しているのか。
A2. 法に基づく取締りはなくガイドラインなので監視という言葉はあたらない。
Q3. 飼料およびその原料が輸入される際に、水際げのチェック体制はどのようになっているのか。
A3. 現在ガイドラインによる審査が遅れているので、データによるチェックは難しい。米国の種苗組合か農家が「日本やEUに合わないと輸出できない」と自主的にしている。未承認のリストを持っていて、入らないようにしていると信頼している。日本では、99年12月より、飼料検査所で、遺伝子組み換えの体制作りを始めている。プライマーでの検査は今後、一層拡充するよう努力する。コーンは94%が米国、大豆カスも輸入しており、調査は補助的にする。
Q4.今回のように、未確認遺伝子組み換え飼料が混入して流通に置かれた場合、どの法律、指針に基づいて対応するのか。
A4.元でできるだけ分けてもらう。安全性確認検査したものをとお願いしている。大量物流による低コストが日本の畜産を支えており、この仕組みを崩したくない。2月の審議会でも従来の安全確認方法を検討したが了承されている。飼料は食品とちがって、家畜が食べるのでもともとの性質が残らず、ワンクッションあると考えている。
この他、有機の考え方にも隔たりがあり、動物へのアレルギー試験も今後の課題とされ、飼料への組み換え体の表示については、安全性の確認で栄養成分に差がないので情報公開の必要はないということでした。
キャンペーンが提出した飼料についての、詳細なデータについては、吉田氏は「よく検討して回答する」と発言しました。未承認品種がなし崩し的に流入することは国民の現在および、将来における大きな不安と危惧を増大させるものです。スナック菓子の時のように、一方で検出され、他方で検出されなかったという結果だけが、一人歩きすることは、誤解を増大させるものであり、科学的検査結果についてはそれぞれの結果を追試・検証し、広く情報公開することこそ国民的要請だと考え、てキャンペーンの検査で飼料から検出された、安全性に疑問のある未承認品種に対しての検査をぜひ追試するよう、当該検査のサンプルの提出も申出ました。<農水省から再度のキャンペーンへの質問ファックス>
その後、7月7日に吉田稔氏からキャンペーンの入沢牧子あてに、再質問状がファックスで送られてきました。(資料8)
これに対してキャンペーン会議で話し合った結果、8月8日に農水大臣あてに「キャンペーンへの質問は、代表である天笠あてに、正式文書としていただきたい旨、検査会社の企業秘密に関わる点を多く含むので、回答を考慮している旨」述べると共に、サンプルの追試についての正式な文書回答をお願いしました。(資料9)
この回答と質問について、農水省からは9月7日に、前出、吉田稔氏より、天笠啓祐あてに質問状がきました。(資料10)<未確認のものが流通する現状改善がされないうえ、申請データにもごまかしが>
昨年7月にキャンペーンの検査運動でコーンから未承認品種が検出されて以降、厚生省、農水省は「キャンペーンが検査情報を開示しないために、未承認についての対応ができない」として、キャンペーンに責任を転嫁し続けてきました。畜産飼料からの未承認の検出については、農水省に対して検査会社の協力を得て情報をできるだけ提供してきましたが、農水省の要求は、細かな企業の特許といえる細部に及んだ要求へとエスカレートしてきています。
キャンペーンが検査依頼している、ジェネティックID社は、8月10日に遺伝子組み換え分析について、英国機関UKASより、国際基準であるISOガイド25及びEN45001 に基づく認定を商業検査機関として初めて取得しました。優れた検査機関として国際的に認められたものです。農水省は、国民のために食の安全を守り、いやしくも未承認が検出されたことを重く受け止めて対処すべきであるのに、何の対策も取らないばかりか、キャンペーンが6月8日に検査会社の協力を得てていねいに回答した内容について、担当者名も付さないファックス一本で検査の専門的技術面での情報開示を一方的に要求しているのです。また、口頭で「キャンペーンのサンプリングが信頼できない」と言って追試も拒否していますが、検査結果を否定するための言い訳としか思えません。
一方で、モンサント社などが提出している安全性確認のための申請データについては、閲覧はするが、コピーはさせない、手書きでも全文を写してはならないなどと言って、情報の開示をしようとしません。しかし、その申請データの、一部を検討しただけでも、ごまかしや改ざんともいえる点が明らかになっています。
今後も、経緯や文書のやりとりをまとめて公にしながら、国の姿勢を厳しく問うていくつもりです。遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
代表 天笠 啓祐添 付 書 類
資料1 未承認品種が流通しない体制をとるよう要請する文書
資料2 農林水産省農林水産技術会議事務局長から、キャンペーンあてに、『関係資料の御提供のお願い』(平成11年8月25日付11農会第1765号)
資料3 9月16日付、中川農林水産大臣と農林水産省農林水産技術会議事務局長あてに出した文書
資料4 月刊誌『食品工場長』の2000年6月号 田部井氏の論文
資料5 参考資料@リポート1113・1114合併号、参考資料Aリポート1096号 参考資料Bリポート1097号ベビーフード・パパイア、)(参考資料Cリポート1107号)加工トマト
資料6 2000年5月26日に農水省からキャンペーンあて「飼料からの未承認品種に関する検査データの提出の要請
資料7 6月8日、農水省畜産流通飼料課で課長補佐吉田稔氏と面談した際、キャンペーンより農水省に出したデータと回答書
資料8 7月7日に吉田稔氏からキャンペーンの入沢牧子あてに、ファックスで送られてきた再質問状
資料9 8月8日、キャンペーンから農水省に出した回答
資料10 農水省からは9月7日に、前出、吉田稔氏より、天笠啓祐あてにきた質問状