2004年12月24日
北海道知事
高橋はるみ様〒162-0042東京都新宿区早稲田町75日研ビル2階
TEL03−5155−4765
FAX03−5155−4767
日本消費者連盟 代表運営委員 富山洋子(団体代表)
遺伝子組み換え作物の栽培等に関する条例(仮称)素案に対する意見 本素案は、日本で初めての遺伝子組み換え作物の栽培規制条例素案であり、制定の意義が大きい反面、日本全国に与える影響も多大です。北海道は日本の食料基地であり、農産物の自給を高める大切な役割を担っています。遺伝子汚染を防ぎ、農業生産者が、安心して、北海道産の農作物の生産ができるように、今後とも遺伝子組み換え作物問題に積極的に取り組まれ、消費者に安心・安全な作物を提供していただくために意見を述べます。
北海道で進められてきた「遺伝子組み換え作物の栽培規制条例」は、当初は、「食の安全・安心条例(仮称)」の中に含まれるはずでしたが、検討の過程で、別途「遺伝子組換え作物の栽培等に関する条例(仮称)」として独立してつくられることになり、内容が大幅に後退しています。
条例づくりは、北海道農政部道産食品安全室を中心に検討が進められ、規制の検討は、一般圃場での商業栽培と、研究段階での野外での栽培試験とに分けられました。商業栽培に関しては、交雑・混入を防ぐため原則禁止が盛り込まれることになり、試験栽培に関しては2004年10月18日に開かれた、「遺伝子組換え作物の栽培試験に係る実施条件検討会」の第3回目の会合で、試験栽培での規制の内容を大幅に後退させた提案が行われ、さらに11月17日に開かれた最後の検討会で、条例の全体像(素案)が示され、遺伝子組み換え作物栽培規制だけが「食の安全・安心条例(仮称)」から外され、別の条例で規制を行うことになりました。
今回の条例案では、商業栽培は原則禁止となり、届け出のない栽培は罰則の対象になるため、すべての栽培・栽培計画について、道が掌握することになります。しかし、目的が、一般作物との交雑・混入の防止にあり、遺伝子組み換え作物の栽培や流通そのものを規制していません。すなわち、一定の条件を整えたハウス栽培は対象外となります。農業への企業参入が広がり、大規模な植物工場がつくられ、そこで栽培されるようなケースは、本条例案では規制できません。
また、一般圃場での試験栽培に関しても、条例が示す手続きをふまえれば、道としては認可しなければならず、そのためモンサント社などのバイテク企業が農地を借りて試験栽培する場合、規制が難しくなります。下記のように要望するともに、日本消費者連盟として、条例案を提案させていただきます。記 1、本条例は、日本で初めての遺伝子組み換え作物の栽培規制条例であり、制定の意義は大きく、全国に及ぼす影響も多大です。最初の提案内容に沿った形への変更を求めます。
2、商業栽培に関しては、全面禁止にした上で、違反に対しては強い罰則を求めます。
3、試験栽培に関しては、知事の許可制とした上で、強い罰則を求めます。
4、試験実施ができる遺伝子組み換え作物は、道内に所在する試験研究機関等が開発したものに限定すべきです。
5、試験栽培は、試験場の圃場内だけとし、一般圃場での栽培は禁止すべきです。
6、試験栽培許可は、「遺伝子組換え作物栽培試験評価委員会」を設置して検討し、その評価委員会には消費者代表・生産者代表を半数選出すべきです。
〔参考〕
(日本消費者連盟条例案)
遺伝子組み換え作物の栽培に関する条例第一章総則
(目的)
第1条この条例はカルタヘナ議定書第T条の目的である、「環境及び開発に関するリオ宣言の原則15に規定する予防的な取組み方法」に従い、生物多様性に悪影響を及ぼす可能性のある遺伝子組み換え生物の移送、取り扱い及び利用には、人の健康に対する危険も考慮した十分な水準の保護を確保することから、予防原則に基づき、県内における遺伝子組換え作物の栽培に関する事項を定め、商業栽培を禁止すると共に、試験栽培や遺伝子組換え種子のこぼれ落ち等による遺伝子組換え作物と一般作物との交雑を防止し、遺伝子組換え作物の栽培に係る、栽培者等の責任と、自治体の責務を明らかにすることにより、遺伝子組換え体の使用によって生じる生物多様性への影響を防止し、地場の農業を守り、消費者と生産者の食や環境に対する安全を確保することを目的とする。(定義)
第2条この条例において、遺伝子組み換え作物とは、組み換えDNA技術を利用して作られた作物をいう。
2この条例において栽培者とは、自ら栽培する者の他、開発者、生産者、生産者から委託をうけて遺伝子組み換え作物を栽培する者をいう。
3この条例において商業栽培とは、遺伝子組み換え作物の収穫物を販売をする目的をもって栽培する場合及び、試験栽培として栽培された遺伝子組み換え作物が収穫後販売に供された場合をいう。
4この条例において試験栽培とは商業栽培以外の栽培をいう。(予防原則)
第3条遺伝子組み換えなどバイオテクノロジーの研究開発は、健康や環境に対する有害な影響の可能性が認められることから、科学的根拠が必ずしも充分でない場合でも危険を予防する観点から県は必要な措置をとることができるものとする。
(基本方針)
第4条遺伝子組み換え作物の作付けに関する安全性の確保は、安全の確保に関する情報の公開及び協議を通じて、県、県民及び栽培者、農業団体等がそれぞれの取組について相互に理解し、協力することにより行われなければならない。(県の責務)
第5条県は、遺伝子組み換え作物の作付け等に関する安全性の確保については第三章に定めるところにより安全の確保に関する施策を総合的かつ計画的に推進する責務を負う。(栽培者の責務)
第6条栽培者はこの条例の第二章の規定を遵守しなければならない。(商業栽培の禁止)
第7条遺伝子組み換え作物の商業栽培はこれを行ってはならない。(知事の指導)
第8条知事は、栽培者が商業栽培もしくは許可なく遺伝子組み換え作物の試験栽培を行うおそれがあると認めるときは、栽培者に対して、指導、勧告をすることができる。(知事の処分)
第9条知事は前条の場合において、栽培者が遺伝子組み換え作物の栽培を行った場合は、栽培者に対して、当該遺伝子組み換え作物の除去を命令することができる。
2知事は前項の命令をしようとする場合において必要があると認めるときは、あらかじめ栽培者から事情聴取を行わなければならない。
(代執行)
第10条知事は前条の規定により措置命令をうけた栽培者がこれを履行しないときは、行政代執行法(昭和23年法律代43号)の規定により、自ら当該遺伝子組み換え作物を除去し、又は第三者にこれを行わせ、その費用を栽培者から徴収することができる。(試験栽培の規制)
第11条遺伝子組み換え作物の試験栽培は、この条例の第二章の規定によらなければ行うことができない。(県民の権利)
第12条県民は、遺伝子組み換え種子のこぼれ落ちや、栽培による遺伝子組み換え作物との交雑により農作物を汚染されない権利を有する。
2県民は、遺伝子組み換え作物の作付けがなされないように情報提供を受ける権利がある。第二章遺伝子組み換え作物の試験栽培の規制
(試験栽培の許可)
条13条遺伝子組み換え作物の試験栽培を行おうとする栽培者は、あらかじめ、知事の許可を受けなければならない。(許可の申請)
第14条栽培者は、許可申請の際は申請書と共に、第16条の書類を添付しなければ、許可の申請を行うことができない。
2許可のための申請は、栽培を実施する60日前迄に行なわなければならない。(許可の対象)
第15条許可の対象は県内の試験研究機関や企業が開発した遺伝子組み換え作物の栽培試験に限定する。(周辺への情報提供報告書)
第16条栽培者は、ほ場周辺の地域住民及び県内在住の希望者に対して少なくとも3回以上、栽培計画書に基づき、情報を提供し、生産・流通上の混乱を招かないよう、農林水産省が定めた「第1種使用規程承認組換え作物栽培実験指針」に準じて隔離距離をとるなど、周辺農作物との交雑や収穫物の混入防止等の措置を講じたことを証明する「情報提供報告書」を作成しなければならない。(遺伝子組み換え作物栽培試験にかかる委員会の設置)
第17条県における遺伝子組み換え作物に関する施策について、知事の諮問に応じて調査審議するため、知事の附属機関として、「遺伝子組み換え作物栽培試験にかかる委員会」(以下委員会という)を設置する。(委員会の構成)
第18条遺伝子組み換え作物栽培試験にかかる委員会は、試験栽培を監視し、第1条の目的を達成するために知事の諮問に対して答申を行う。
2委員会は、○人の委員をもって構成され、必要のある場合は随時委員を置くことができる。委員は以下の中から、知事がこれを任命または委嘱する。
@住民委員住民委員には、試験栽培によって影響を受ける者を2人以上を選任する。住民委員の数は全委員数の2分の1以上とする。
A専門委員学識経験者、遺伝子組換え実験または同分野の科学知識に通じる者1人。住民の推せんする学識経験者は住民委員とする。
Bその他委員行政機関および農業団体、消費者団体、生活協同組合等からの代表委員
3委員の任期は2年とする。補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする但し再任を妨げない。
4委員会は、委員長1人、副委員長2人を置く。(委員会の開催と招集)
第19条委員会は、毎月開催する定期委員会と、必要に応じて開催する臨時委員会とする。
2委員は、目的である事項を記載した書面により、臨時委員会の開催を委員長に求めることができる。3人以上の開催要求があった場合、委員長は委員会を招集しなければならない。
3委員会の定足数は総委員の2分の1とし、議決は出席委員の3分の2とする。可否同数の時は委員長の決するところによる。
4委員会の議長は、委員長がこれにあたる
5委員会の議決について、特別の利害関係を有する委員は、委員会の議事の議決に加わることができない。(委員会の権限と職務)
第20条委員会はこの条例第1条の目的を達成するため、申請にかかる試験栽培を許可すべきかどうかに関する知事の諮問に対して答申を行う。
2委員会は遺伝子組み換え栽培に関するすべての提案について、条約、法令、条例、指針およびその他の規則に違反するかどうかを審議する。
3本条例に従って栽培者が作成した許可申請書に対して、手引書、職員の訓練計画、安全計画ほか監視計画が適切であるか否かを審査する。
4委員会は必要に応じて関係行政機関による公聴会を要求する。
5委員会は試験栽培を許可した後も、必要に応じて、施設に立入り現地調査を行ない、条例の実施を有効ならしめるよう報告を求め勧告を行なうことができる。
6委員会の会議の議事録は、公開されなければならない。第三章県の責務
(知事の責務)
第21条知事は、栽培者から第6条の規定にもとずく許可申請を受理した場合は、速やかにこれを委員会に付託しなければならない。
2知事は、遺伝子組み換え作物の栽培許可を行った場合は2週間以内に、市町村や消費者団体、農業団体などの関係機関及び関係団体などに周知させ、これらの団体と連携及び協力しながら監視行為を行うことを要する。
3知事は、遺伝子組換え作物の栽培計画を事前に把握するため、市町村や農業団体等の協力を得ながら、常に栽培者に対する情報の提供を求めこれを公開しなければならない。(知事の調査権限等)
第22条知事は、遺伝子組み換え作物の栽培に関して、関係市町村および農業団体の協力を得て、速やかに実態を調査する権限を有する。
2知事は、前項の報告等を受けたときは、速やかに当該報告の内容を県民に公開しなければならない。(知事の指導権限)
第23条知事は、この条例に反する栽培が行われた場合には、速やかに栽培状況等の調査を行うとともに、栽培終了後においては、栽培者をして栽培状況ならびに交雑・混入防止に関して講じた措置を求めなければならない。この場合の措置は第9条、第
10条の規定を準用する。第四章県民の権利及び責務
(県民の権利)
第24条県民は遺伝子組み換え種子のこぼれ落ちや栽培による、遺伝子組み換え作物との交雑により汚染されない権利を有する。
2遺伝子組み換え作物の開発者、輸入業者、流通業者、栽培者等は、汚染が他の原因によるものであることを証明できない場合は、有機農家や自家採取農家などの生産者等、遺伝子組み換え作物の交雑により被害をうけた者に対して損害賠償責任を負う。
3遺伝子組み換え作物の開発者、輸入業者、流通業者、栽培者等が汚染を行うことが明らかな場合は、県民は事前に汚染防止のための差し止め行為と行政に対する是正措置を求めることができる。(県民の役割)
第25条県民は、遺伝子組み換え作物の作付けに関する施策について意見を表明するように努めることによって、食や環境の安全の確保に積極的な役割を果たすものとする。2県民は、食品及び環境の安全の確保に関する県の施策に協力するよう努めるものとする。第五章罰則
(罰則)
第26条第19条第1項の知事の調査権限規定に違反し、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による調査若しくは物件の提出を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、20万円以下の罰金に処する。第27条第7条(商業栽培の禁止)、第11条(試験栽培の規制)に違反した者は2年以下の禁固、100万円以下の罰金に処する。
(両罰規定)
第28条法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前2条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の罰金刑を科する。第五章雑則
(委任)
第29条この条例に規定するもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。
附則(施行期日)
以上