2004年10月25日

金融庁総務企画局企画課保険企画室内 
金融審議会事務局 御中

住所 〒162-0042 東京都新宿区早稲田町75 日研ビル2階
所属    日本消費者連盟
氏名   代表運営委員  富山 洋子

「無認可共済」への対応に係る論点整理に関する意見

1.現状について
この数年急成長している無認可共済は、割安な掛け金を売り物に、死亡や通院関係などの医療保障、家財損害、ペット通院や葬儀の費用、交通違反時の反則金を補償する共済など内容はさまざまですが、監督官庁や規制がありません。
 2004年6月8日の総務省による「根拠法のない共済に関する調査」の中間とりまとめで明らかになった共済でも、財務や決算に関する情報を開示していない団体が三割(29.55%、43団体)、将来の共済金支払いを補うために積み立てておく「責任準備金」制度がなかったのは51団体(34.9%)、多額の支払い発生に備えた「再共済契約」を保険会社と結んでいないのも49団体(33.6%)もありました。「責任準備金」と「再共済契約」がいずれもない団体も二割もあったということです。「募集・勧誘形態」では、新会員を勧誘した会員に手数料を支払うなど、連鎖取引販売(マルチ商法)の手法をとる団体が11団体(7.5%)もあり問題です。
無認可共済は規模や形態などが多様で実態把握が難しく、関係者の意見集約や消費者ニーズの調査も進んでいませんでした。このため行政の対応の遅れが、トラブルや被害の増加につながる恐れがあります。なかでも問題とされるのは、保険業は不特定の人を対象にして、様々な規制の下に行われていますが、共済事業はもともと特定の集団での相互扶助を目的に始められれたものです。しかし、ここ数年の無認可共済は有利性やビジネス性を売り物にしており、特定性がなく、そもそも共済の概念に反するものです。
 日消連では全国ファミリー共済組合、マルチ的勧誘を行っている無認可共済8社(全国ファミリー共済組合、エキスパートアライアンス(株)、全国介護医療保障共済連合会、(株)エイジェイオール、(株)ネットアスカ、(株)ジャルコ、無人責任中間法人全国擁護共済会、日本共済(株))にそれぞれ公開質問状を提出しましたが、「会員以外には情報は非開示としており、納得ある回答はありませんでした。
 以上を前提に、金融審第二部会のもとにある保険WGが出された標記の件に関して以下のように意見を述べます。

2.基本的考え方について
(1)規制の対象(2)保険業法との関係
(結論)小規模かつ特定性が明らかなもの以外は規制の対象をするべきあるが、小規模、特定性の判断には解釈上の困難が伴うので、原則保険業法や認可共済と同規制を行うべきであり、中間形態を認めるべきではない。
(理由)
@共済本来の趣旨を逸脱したものは乱用の危険があるので法的規制を行うことが必要である。認可共済が多様性や制度補完の役割を担うにあたっては、保険業法を倣って作られている経緯を踏まえ、共済としての社会的な役割を果たすためには認可共済や保険業法と同様の規制を行うことが求められる。これによって、契約者保護、公正な競争が確保されると考える。
A保険業法は保険を不特定多数(広範囲に多数の者)に販売する際の契約者保護規定であるので、なんの規制もなく不特定多数を対象に、将来発生する保障を目的に、多額の金銭(契約金)を出資させるような契約形態を認めるべきではない。
B生命保険型商品(死亡・医療保障等)は公的保障と並ぶ社会保障の柱であり、消費者の生活を支える重要なものであり、行政当局の検査や監督に入れることが大前提である。
C資本金規制をはじめとする財務規制に関するルールは支払い能力が不十分な保険会社の発生を防止するためのものである。
D既存事業者の保護を論じる前に、既存事業者に問題はないか情報公開を徹底させるべきである。事業体が弱体、あるいは悪質な事業者は排除できることが必要である。この点から、特定性以前の問題として、マルチ事業者は当然排除すべきである。

3.規制の具体的内容について
 上記のように、既存の認可共済もしくは保険業法上の規制と同様の規制を考えるべきであると考えるが、仮に異なる規制を導入する場合も監督官庁を明確にした上で幅広く行政の監督下に置くことが必要である。
(結論)
@参入規制緩和を行う場合は、消費者保護の観点から十分要件を明確にすべきである。商品審査についても安易に行うべきではなく、取扱商品を保険期間が短いものに限る、保険金が一定額のものに限定する必要がある。貯蓄性のある商品、高額な医療保障をうたう商品などは現行の保険業法の規制に従うようにすべきである。
A責任準備金の積立などをふくめ、確実に保障が受けられるための手立てをしっかり構ずるべきある。責任準備金の積み立て、保険経理人の関与を義務づける。
B兼業規制、資産運用規制については、本業との区分経理は必須である。財務の健全性を確保する観点から預金や国債等の運用を義務づける点は適切であるが、財務の公開性を義務づけることが必要である。保険会社同様、事業年度ごとに業務・財産の状況に関する説明書類を作成し、開示すべきである。
C保険会社同様、募集の際の虚偽表示の禁止等の募集規制、保険募集人登録等は当然行われるべきである。
D行政当局の検査・監視の対象とすべきである。ソルベンシー・マージン基準に基づく早期是正措置も認めるべきである。
E生命保険商品に類似した高額な掛け金のものもありセーフティネットは必要である。仮にセーフティネットを設けない場合は、消費者に保険商品との誤認が起こらないよう十分な情報提供や契約時の確認が必要である。
F無認可共済の実態を把握することが先決であるが、現状では事業者、商品内容、契約者の実態把握は困難であり、断固とした法的規制の姿勢をまず示すべきである。現状では将来的に法的規制がかからないところでの被害発生が十分予見されるが、取り締まり対象が明確でないという理由で参入規制の問題にすり替えられている。

4.要望
 将来的には、共済、保険業とも、金融業全体に含め、参入、情報開示、勧誘・販売ルール、検査・監督などの規定を盛り込んだ金融サービス法を制定すべきと考えるが、現状はまず、社会的に不公正であり、保険や共済本来の目的を逸脱した連鎖販売取引(マルチ商法)による無認可共済の早急なる取締を要望する。

以 上