2004年9月9日

声明
近鉄・オリックスの合併承認に抗議し、
選手会のストライキを断固支持する

日本消費者連盟
東京都新宿区早稲田町75日研ビル2F
代表運営委員 富山洋子

 6月13日に発表された近鉄・オリックスの合併基本合意以来、再編問題をめぐって揺れたプロ野球界ですが、ついに昨日、両球団の合併が正式承認されました。日本消費者連盟は以下の理由により、この合併承認に抗議するとともに、日本プロ野球選手会によるストライキを断固支持いたします。同時に、各球団と日本プロ野球組織(NPB)に対し、事態の早期改善を求めます。

@プロ野球ファンは消費者
 プロ野球ファンは、試合観戦やグッズ購入などにより「野球」という商品を買うという意味で、球団に対しては紛う事なき消費者です。他の業界同様、プロ野球界も消費者なくしては成り立ちません。
 ところが、今般の決定に至るまでの経緯を見ていると、各球団首脳やNPBは、合併や1リーグ制移行に反対する多くのファンの声に耳を貸さないどころか、ファンを球界を支えるものとして認識していません。これはまったく納得できないことであり、消費者団体として看過できません。

ANPBはファン・選手への説明責任を果たせ
 この問題の原因は、まず第一に球界首脳、特に合併両球団の経営陣が、そうしたファンへの説明責任をまったく果たしていないことにあります。
 合併の理由を経営悪化としていますが、誰もが「しかたがない」と納得できるだけの合理的説明はなされていませんし、その根拠となる客観的資料なども示されていません。報道によると、選手会にすら示されていないといわれ、これでは混乱を引き起こすだけで、ストライキの責任も、こうした経営側の対応にあります。

B球団は地域社会の財産
 プロ野球は文化であり、球団は一私企業であると同時に、地域や社会の大切な財産です。これまでもそうした観点から、球団は地域や自治体から有形無形の便宜を受けてきたはずです。それを、合併を単純な経営権の問題として矮小化し、一方的に押し進めるのは道義的に許されません。
 大阪近鉄バファローズの親会社である近畿日本鉄道山口昌紀社長は、「公益性の高い会社で(球団の)年間40億円近い赤字は看過できない」(04年6月30日付『スポーツニッポン新聞』)と合併を説明していたはず。公益性が高いことを認めるならば、売却も視野に入れ、地元でのチーム存続をまず第一に考えるべきです。

C不合理な売却拒否
 さらに、大阪近鉄バファローズの買収と地元大阪での存続に名乗りを上げたライブドア社への対応は、まったく不合理です。
 同社の買収申し出については、古田敦也選手会長も歓迎、各紙世論調査でも圧倒的に賛成が上回るなか、近鉄本社が商談もせずに一方的に拒絶しているのは、理解に苦しみます。
 もともとこの合併問題は、近鉄本社がバブル期に不動産投資で作った巨額の負債が原因といわれ、グループ内不採算事業のリストラが背景にあるといわれています。それが事実なら、いわば自分たちの尻ぬぐい≠、チームを取り上げることでファンに押しつけていることになります。

D新規参入の不当な妨害は、消費者の選ぶ権利を侵害する
 また、各球団とNPBの閉鎖的体質も問題です。合併承認を議論する際にも、ライブドア社の買収申し出を一考だにせず、読売ジャイアンツ・渡辺恒雄前オーナー(現読売新聞グループ本社会長)に至っては、「俺が知らない人は入るわけにはいかない」(6月30日付『共同通信』)などと言い出す始末。これでは正当な理由のない新規参入の妨害と言われてもしかたがありません。
 特に、最近の規制緩和の流れに少なくない発言力を持つ一部球団オーナーなどが、自分の利権に関してはまったく逆の態度に出ていることは、許し難い欺瞞です。そうした「改革」のお陰で失業や生活不安、所得格差が広がり、消費者保護のために必要な規制まで緩和されていることを考え合わせると、怒りを禁じ得ません。
 日本消費者連盟は、必ずしも規制緩和や構造改革に賛成するものではありませんが、今回の場合、こうした閉鎖的体質が消費者の自由な選択を阻害している言わざるを得ません。
 合併承認について、すべての球団オーナーが積極的な選択ではなく、「仕方がない選択」だと言います。であるならば、選手会が要求しているように、合併を1年間延期し、ライブドア社の買収計画等を精査するなどして、パ・リーグ6球団維持を前提に方策を検討してもいいはずです。現状では、手を尽くしたとは言えません。

E混乱の責任はNPBに
 以上のように、今回の合併承認はまったく合理性を欠き、手続き的にも不備があるものです。それに対する選手会のストライキ決定は、完全に支持できるものです。
 そもそも、選手会の主張は「合併絶対反対」ではなく、互いの合意形成のために1年間これを凍結することです。しかしながら、NPBはこれを拒否し、その他の選手会側からの提案にもほとんど明確な回答をしていません。こうしたことから、選手会では最終手段としてストライキを選択したわけですが、そこに至るまでの過程はオープンにされていて、その決定が妥当なものであることがよく理解できます。ペナントレースが大詰めとなるこの時期、球界全体の発展を優先した態度にも好感が持てます。
 むしろ、ストライキによる混乱は、こうした選手会の要求に耳を貸さないNPBに責任があり、「損害賠償請求」などはもってのほかです。

以上