WTOカンクン閣僚会議 交渉決裂!
NGO行動盛り上がる


日消連、ふーどアクション21
山浦康明

 9月10日から14日までメキシコのカンクンで開かれていた、WTOの第5回閣僚会議は目指していた閣僚会議宣言文の採択はできず、交渉は決裂したまま終了した。私は以下のように、ふーどアクション21として「平和フォーラム、全農林、道農連、全水道、農ネット、日農などの農業・労働組織、消費者団体、脱WTO草の根キャンペーン」の横断的な派遣団に参加した。

9月9日(現地時間)
 NGOの公式行事が8日から始まったが、この日は各団体がWTOのキーワードについてガイダンスを兼ねて各種の集会を開いた。国際農民フォーラムが「食糧主権と自由貿易」を、またIATP(農業・貿易政策研究所)などが「フェアー・トレード フェアー」を開いた。TWN(第三世界ネットワーク)はマーチン・コーさんが、WTOの交渉各分野での問題点を指摘した。さらに、ヴァンダナ・シバさんらが「グリーン・バイオテクノジーとは?」と題するシンポジウムを開いた。私も、GMイネ作付け阻止や、GM大豆鋤き込み行動など、日本での反モンサント社の市民農民のここ2年の闘いを説明した。グローバリゼーションに関する国際フォーラム(IFG)は10時半から、夜の8時まで、公共サービス、環境、海洋資源、FTAA、平和など多くのテーマにわたるティーチインを開いた。

9月10日
{閣僚会議関係} 会議のオープニングセッションが定刻通り10時から開始され、今回の閣僚会議議長を務めるメキシコの外務大臣に続き、スパチャイWTO事務局長が挨拶をしている最中に、タイミングよく、フォーカス・オンザ・グローバルサウスや、ポラリス研究所などの20人ほどのグループが傍聴席から立ち上がり抗議行動を約10分おこない自ら退場していった。その後WTO一般理事会のカスティーヨ議長の挨拶、メキシコ大統領の開会宣言が行われた。WTOからの動議として、交渉促進のために作業部会(WG)を5つ作り、議長を決めた。;農業、非農産品市場アクセス、途上国対策、新分野(投資など)、その他。
{NGO関係} セントロ(下町地区)で農業問題のパネルが開かれたあと、我々のグループを含む2万人規模のデモが閣僚会議場へ向けて進んだ。会議場へ向かう下町からの出口付近で当局が築いたフェンスをめぐる攻防が起き、その中で韓国の農民団体のKorea Advanced Farmers Federationの前代表のLee Kyung-haeさんが自殺による抗議行動を行った。NGO各団体はその死を悼んで連日夜現場で追悼集会を開いた。

9月11日
{閣僚会議関係} 10日14時30分から開始された各国大臣による持ち回りのスピーチは本日も9時30分から終日行われた。だが、交渉の実体は農業などの作業グループでの討議であり、農業のWGは初日のため延べ45カ国以上が参加して行われた(翌日は20数カ国に減少)。農産物輸出国と、輸入国、途上国の立ち場は並行線のままだった。日本代表は韓国・スイスなど9カ国で対案を提出したが大きな勢力とはならなかった。
{NGO関係} この日も多くのシンポジウムが開かれる。グローバリゼーション下の労働問題、国家テロ問題、WTOと軍事化問題など。夜は韓国農民の死を悼む追悼集会が行なわれた。

9月12日
{閣僚会議関係} 今日も9時30分から各国代表によるスピーチが終日続く。WTO事務局は連日NGO向けの説明会を開いており私も参加した。農産物の貿易自由化に反対する韓国農民の死が農業交渉に与える影響は大きい、と私も発言し、グリーンピースのメンバーもWTO事務局に執拗に訴えた。
5つのワーキンググループがそれぞれ開かれたが、意見の集約はできず、13日にWGの議長が提案文書を出して、閣僚宣言案(第3次案)を提案する、との報道が流れる。
{NGO関係} 今日も多くの集会があったが、我々のグループは、FTA問題、公共サービス(水)問題、ATTACの会合などに分かれて参加した。夜は追悼集会に参加、その後毎日夜10時から日本政府が開く説明会にも参加し我々のグループは皆活発に発言した(これは連日)。日本政府からは、外務省経済局国際機関第一課の下川室長、経済産業省の伊藤参事官、農水省大臣官房国際部貿易関税課の沖課長の3名が連日出席した。下川室長の対応には誠意が感じられたが、貿易自由化万能論者で途上国に対する先進国意識丸出しの伊藤参事官、農業交渉について知識が疑われる沖課長に対しては、私は交渉担当者として危惧を抱いた。新分野(投資ルールなど)については、国民的合意がないままに、大企業のイデオロギー最優先の姿勢を打ち出す日本政府の交渉ポジションも問題がある。

9月13日
{閣僚会議関係} 各国大臣よるスピーチが今日も続く一方で、閣僚会議宣言(第3次)案が提出され、討議が続いた。しかし各国の立場の違いは埋まらない。農業交渉におけるEU、米国のごり押しともいえる対応、日本政府の新分野の拙速な開始提案をみると、なんとしてもカンクンでの閣僚宣言文の採択はするべきではない、と感じる。
{NGO関係} 終日「企業のグローバル化と軍事化に反対するマーチ」に参加した。セントロ(下町)から会議場方面へ向けて1万5千人規模のデモが続き午後1時前後には、封鎖されたフェンスを、メキシコの女性グループ、韓国グループ、アナーキストグループなどが引き倒す実力行動に出た。また一部のグループは99年のシアトルの時のように商店を破壊する行動に出るものもおり、当局の警備態勢は日増しに強化されている。もちろん多くのマーチの参加者は平和的に、WTOの問題点を訴えている。

9月14日
{閣僚会議関係}会議の最終日、交渉はついに決裂に終わり、閣僚宣言文は採択されなかった。我々の1週間の行動も一部は報われた感がある。しかし、今後もワーキンググループの作業は続き、また一説には臨時の公式閣僚会議が今後早期に開催されるとの報道もある。まだ油断はできない。
{NGO関係}多くの会合が開かれている模様だが、我々は残念ながら早朝に帰国した。
今後、活動報告の場で問題点を訴えたい。

2003年9月16日