2003日消連第27号
2003年8月29日司法制度改革推進本部
事務局長 山崎 潮 殿東京都新宿区早稲田町75
日研ビル2F
日 本 消 費 者 連 盟
代表運営委員 富山洋子弁護士報酬の敗訴者負担に反対する意見書 一.私たち日本消費者連盟は、1969年「人間が人間らしく生きるために、経済的、社会的、法律的に差別のない自由で平等な社会の実現をめざして、消費者の立場から、国際的視野に立って活動する」ことを目標にかかげて創立した、個人会員制度の消費者団体です。”すこやかな生命を未来へつなぐ”をスローガンとして、あらゆる消費者問題と取り組み、消費者の裁判も支援してきました。
これら消費者運動の立場から、弁護士報酬の敗訴者負担制度の導入に反対する意見を述べます。二.当連盟は、化粧品被害者が続出した1970年代から、化粧品メーカーに対する、顔を黒皮症などの回復不能な状態にさせられた被害者の訴え等の相談を受けてきました。
しかし、化粧品メーカーの企業秘密を理由とした、情報の非公開が認められる制度の上に、被害の因果関係の証明は被害者に要求されてきました。70年代に提訴した大手メーカー相手の集団訴訟がありましたが、これが和解となり、その後、化粧品被害者の裁判は殆どありません。化粧品被害者は化粧品メーカーを訴えたくても裁判費用の負担が大きいことが第一にあり、また因果関係の証明に医者の協力を得ることが難しく、勝訴する見込みがたちにくいために裁判に踏み切れないからです。このような、消費者の裁判へのアクセスを拡充するための検討こそ、私たちは、「司法アクセス検討会」に求めています。敗訴者負担の制度は、益々、このような消費者が裁判をやりたくてもやれない状況に追い込むものです。
ここで、化粧品を例としてあげましたが、消費者と食品メーカー、その他の製造メーカーとの関係も、同様であることに留意してほしいと考えます。
製造物責任法が制定されて以降もこの消費者対企業の力の構図は変わりません。敗訴者負担制度の導入は勝訴の見通しを持つことがほとんどあり得ないために、このような消費者の提訴を萎縮させることになります。三.1990年はじめ、日消連は、原発による電気に対する料金不払いについて、東京電力から提訴されました。「原発裁判」と称しましたが、「原発の安全性を問う」という私たち消費者の『知る権利』としての行為に対して、何ら納得のいく説明をすることができなかった東電が、裁判という手段で、消費者団体の当然の権利を押さえ込もうとしたものです。地裁・高裁で敗訴、最高裁の敗訴判決まで私たちは裁判を続けましたが、もし、このとき弁護士報酬の敗訴者負担制度が導入されていたとすれば、私たちの運動のみならず、日消連自体を財政的破綻に追い込まれる可能性が生じたでしょう。
敗訴者負担制度は、私たち消費者の権利をも奪うこともあり得るということです。四.「司法制度改革審議会意見書」には、「国民が、容易に自らの権利・利益を確保、実現できるよう、そして、事前規制の廃止・緩和等に伴って、弱い立場の人が不当な不利益を受けることのないよう、国民の間で起きる様々な紛争が公正かつ透明なルールの下で適正かつ迅速に解決される仕組みが整備されなければならない。」「国民が司法制度に期待するものは端的に何かと言えば、それは国民が利用者として容易に司法へアクセスすることができ、多様なニーズに応じて充実・迅速かつ実効的な司法救済を得られるということ、及び公正な手続きを通じて犯罪の検挙・処罰が的確かつ適正・迅速に行われることにより安全な社会生活を営むことができるということであろう。」という記述があります。
私たち消費者、市民、つまり国民が、利用しやすい裁判のためには、利用者の費用負担の軽減は重要な要素といえます。
費用の負担を増す弁護士報酬の敗訴者負担制度の導入には強く反対します。五.パブリックコメントが司法アクセス検討会の議論にどのように反映されたのかを明らかにし、国民に対して説明されることを求めます。
また、意見を提出した市民・団体からのヒヤリングを実施されることも求めます。
以上