2002年12月24日
文部科学省
スポーツ・青少年局学校健康教育課企画・健康教育係 御中東京都目黒区目黒本町1−10−16
日本消費者連盟 代表運営委員 富山 洋子
рO3(3711)7766
東京都大田区山王2-17-13
ワクチントーク全国事務局長 藤井 俊介学校保健法施行規則の一部改正案に対する意見 子どもの健康にとって、予防接種の必要性、有効性、安全性は大きな問題である。我が国の感染症対策としての予防接種は、自然感染のおそれがないのに義務を課して行い、重とくな被害を産み続けた種痘にはじまり、学童への意味のないインフルエンザ予防接種、危険性が早期どころか制度導入前にも明らかであるにもかかわらず、危害が続出しながらも接種を続けた(現在訴訟中の)MMRワクチンなどにより、多くの被害者を産み続けてきた。
結核患者数は、どこの国でもBCGワクチン接種制度の導入以前から激減している。結核予防にとっては、環境条件、衛生条件、労働条件などの社会的な諸条件の整備が最も有効でかつ必要だったことが明らかである。近年、日本では、BCG接種を実施してきたにも関わらず、逆に結核患者数が微増する傾向にある。行政が結核対策をBCGに頼るだけで、特に都市部での環境条件の整備を怠ってきたことが、結核患者数をむしろ増やすことになった。これは、2001年7月より厚生科学審議会感染症分科会結核部会が2002年3月20日に報告された『結核対策の包括的見直しに関する提言』からも明らかである。
1994年に、予防接種法および結核予防法が改正され、結核への対応策の一つとして従来行われてきたBCGワクチンのほか、すべての予防接種は、強制的な接種ではなくなった。BCGワクチン接種については、再接種の有効性に疑問がだされているにもかかわらず、全国的に接種が強制されてきた。現実にはツベルクリン検査が学校保健の枠組みの中で「義務」であること、学校で行われるためBCGワクチン接種についても強制が行われ、従前より私たち市民団体にも保護者の疑問の声が多く寄せられていた。
BCGワクチンの再接種の有効性を否定する研究結果が数多く出ており、世界保健機構(WHO)が行った15年にわたる調査でも、ワクチンを接種した群と接種しなかった群の間で結核罹患率に差はなかった、ということが明らかになった(そのほかの研究報告の結果は有効率80%からマイナス50%の間でばらついている)。
日本結核病学会は、1991年これらの研究報告を受けて、小学校1年生のBCG接種を廃止すべきであることを提言した。1999年に厚生省(当時)も廃止の方針を打ち出し、公表した。それにもかかわらず、薬品メーカーによるワクチン在庫処理の圧力が強く、集団接種が継続されていることについては従前の薬害と同一の医師会やメーカー保護に傾いた行政の姿勢が問われる。今回の廃止については、まず第一に、BCGワクチンの再接種にエビデンスが無かったことを、真摯にみとめる必要がある。
今般、ツベルクリン検査と、BCGワクチンの再接種が遅まきながら廃止されたことは評価される。また、前出の『結核対策の包括的見直しに関する提言』が法制度として、また実務においても効果的に実行されるのであれば、結核対策と学童期における、無意味な接種の強制もなくなるものと歓迎する。しかし、現実にはこうした廃止に到る経緯が厚生業務を預かる厚生労働省から学校医保健法を預かる文部科学省に伝わっていないことが懸念される。現実に、昨年、今年は廃止の方向が明らかであったのに、学校では意味のない接種の強制がなされていたと報告されている。
概して学校での医療行為は強制的意味合いが強く、今回の制度の改正については、保護者に納得のいく説明がされるよう第二に要望する。以上二点をふまえて、学校健診についてのパブリックコメントを提出する。@小学校及び中学校の第一学年において一律に行ってきたツベルクリン反応検査を中止。について
学校でのBCGワクチンの再接種者を特定するためのツベルクリン反応検査の中止には賛成する。ただし、地域的に結核患者の発生率の高い地域においてはツベルクリン反応検査を残すことも検討すべきである。学校健診での発見率が低いことをもって、ツベルクリン反応検査そのものを廃すべきではなく、発生率の高い地域においては、接触者健診の見地から、保健所等でのツベルクリン反応検査を残すべきであると考える。
また、ツベルクリン反応検査から、直接X線撮影となった小学1年生は10,476人、中学1年生72,566人であり、健診で発見される患者数と比べて必要以上の精密検査が行われており、ツベルクリン反応検査の技術自体の向上が望まれる。同時にツベルクリン反応検査を用いた信頼性の高い予防内服の基準設定が必要である。また無意味なX線撮影は極力防ぐべきである。A新たに、小学校及び中学校の全学年の児童生徒に対して問診を行うこととし、問診を踏まえて学校医が必要と認める者であって、結核に関し専門的知識を有する者等の意見により、学校の設置者が必要と判断したものに対して、精密検査を実施。
今回の改正では、教育委員会が乗り出して、保健所と学校、地域医師会の連携を図りながら結核対策を行うとしているようであるが、小中学校の全員に定期健康診断をすることで結核患者を発見できるということのようである。しかしツベルクリン反応検査をしないで、どのように結核を発見できるのか甚だ疑問である。
また、2002年6月5日の結核部会・感染症部会の共同調査審議にかかる合同委員会報告書によると学校健診廃止による健診で発見することが期待される少数の患者に関しては、乳幼児期BCGで述べられた接触者健診の充実などの方策により対応することが妥当とされている。一律的健診を維持すべきでないとされていることから、全学年の健診については、対象者の選び方も含めて、その手段、方法、プライバシーの尊重が必要であるが、そもそも健診の対象者を全国一律、小中学校の全員として行うことに疑問がある。
結核患者の発生については、たとえば、大阪市と長野県では、去年の 6.5倍から 7.3倍といったように、更に地域格差が拡がっている。結核未感染者の増大、生活困窮者、医学的リスク集団、高齢者等での発病が非常に増えている。結核発生集団でない学童のしかも全員に集団検診を行うことの意味はない。費用対効果の面から疑問であるだけでなく、過度のプライバシー侵害となる危険性もある。
結核患者は地域差が大きく、20人以上が東京、埼玉、大阪などの首都圏に集中している。これら首都圏が下がらなくなり、横ばいということは、大人の結核、親の結核が首都圏では減ってないということである。このような状況で、一律に、発生もない全国の子どもたちの健診を強化しても結核患者を減らすことには役立たず、むしろ健診強化による無駄な予防内服やレントゲンの機会が増える危険性の方が高い。
健診で、20歳〜40歳代の職域健診では、半数が健診で見つかっている。また、住民健診では、40歳以上では16%が定期健診によってわかっている。高等学校、大学、専門学校の学校など、10代、20代は、最近の結核発生状況でも集団感染事例の報告もある。(ただし、20歳未満ではレントゲン健診による損失が利益を上回るのでこの点の配慮も必要である。)小中学校での健診強化する前に、成人の健診、特に多発地域での健診をしっかり行うべきである。
BCGの再接種をやめて、子どもに対して効果的な結核対策をどうするかは、まさに、成人の患者を減らす対策と、乳児期での対策の改正によって対応すべき問題である。効果的な対策は、学校健診の徹底ではないことは明らかである。今般のBCGワクチン再接種の廃止は、学校健診の廃止と同時に行うべきである。小中学校の学校健診を強化することは問題が多く、賛成できない。(連絡先)
ワクチントーク全国 青野
日本消費者連盟 古賀