ポリオ・麻しん小委員会ヒヤリング資料
2002年11月12日
日本消費者連盟 古賀 真子
一、ポリオワクチンについて
1.病気の流行とワクチン
2.経口生ワクチンによる公衆衛生政策に対する現状認識
3.不活化ワクチンは必要か
4.結論1.病気の流行とワクチン
2000年10月西太平洋地域ポリオ根絶京都会議で世界保健機関(WHO)は、ポリオが日本を含むアジア太平洋の37国・地域から根絶されたとする「京都宣言」を発表した。これは、WHOが区分している世界6地域の中で1994年の南北アメリカに次いで2番目である。1997年のカンボジアでの報告が最後で、根絶認定の条件となる「最後の発症報告から3年」を満たしたと判断された。(2002年6月にはヨーロッパ地域でも根絶宣言)
IASR1962〜1995 によれば、日本におけるポリオ患者の全国規模での実態は、1947年「伝染病届出規則」制定以来正式に把握された。1949年頃より全国各地でポリオの流行が報告された。毎年1000人以上が罹患し、 100人以上が死亡したとされる。1960年には北海道を中心に大流行し、1年間の患者が 5,000名を超えた。
1961年には輸入生ワクチンの緊急投与が行われ、1963年からは定期接種が始まった。その結果、ポリオ患者は激減し、現在までほぼ完全に制圧されている。1971年、1980年の各1例を最後に日本では発生していない。2002年8月9日の貴小委員会報告5頁でも、高い接種率(00年はロット39の副作用問題のため減少)を誇り、生ワクチンのやり方は支持されてきたと思われる。2.経口生ワクチンによる公衆衛生政策に対する現状認識
生ワクチン投与開始後1962年から、厚生省伝染病流行予測調査が実施されてきた。これは、各都道府県の協力を得て、感染源調査と感受性調査の両面からポリオ患者の発生の可能性を監視するものである。感染源調査は、健康小児糞便からのポリオウイルスの分離試験を、生ワクチン投与時期から2カ月以上経過した時点で行い、野生株ポリオウイルスの侵入を監視する。さらに定型的なポリオ様麻痺患者については、ウイルス学的、血清学的に確認検査を行ってきた。流行予測調査あるいは麻痺患者材料からポリオウイルスが分離された場合は、そのウイルスがワクチン由来株であるか野生株であるかの鑑別を行っている。感受性調査は一般健康者のポリオウイルスに対する中和抗体保有状況を継続的に追跡し、予防接種の効果と集団の免疫状況を監視している。極めて緻密なサーベランス体制が採られてきたといえる。では、生ワクチンの必要性、有効性、安全性はどうか?
《必要性》
日本では1971年、1980年各1例の後現在は野生ポリオの発症はなく、ワクチン後のポリオ様麻痺(VAPP)のみ報告されている。ポリオはたとえ感染しても不顕性感染が多く1000〜2000人に1人しか麻痺症状は発症せず、他はかぜ症状や無症状のまま終ってしまう。
罹る可能性はワクチン関連からしかなく、接種すると麻痺などの副作用があるし、人に感染させる可能性もある。(但し、関連麻痺は孤発例)。
《有効性》
有効性は高いとされる。弱毒セービン株ポリオ1,2,3型ウイルスを混合した3価ワクチンである。0〜5歳における抗体獲得率は、平成8年度の流行予測調査事業によれば、1回投与の場合は1型で90%、2型で94.7%、3型で47.5%、2回投与の場合は1型で99.6%、2型で100%、3型で91.8%となっている。また2回投与後64倍以上の高い抗体保有者が1、2型はそれぞれ97.5%、95.9%あったのに対し3型では56.8%にすぎなかった。
(※1)ロット13,14は1型の抗体獲得率が低く、昭和50年生まれ 56.8%、昭和51年生まれ 37.0%、昭和52年生まれ63.8%と報告された。厚生省は子が接種する時とポリオ常在国に行くときに追加接種を勧めている。
《安全性》
ワクチン接種後のポリオ様麻痺発症は公衆衛生審議会感染症予防部会(2000年6月7日)では「ワクチン関連症例の出現頻度は1977-1996年の20年間で、免疫異常のない被接種者から麻痺患者が出た割合は約440万人当たり1名、接触者の場合は約580万人当たり1名である。また、この間の免疫不全者の麻痺例は2名で、共にワクチン接種者であった」と報告されている。
副作用については、「ポリオワクチンを巡る最近の状況と我が国の将来」ポリオ予防接種検討小委員会(2000年8月31日)によると1970〜2000 年に、ワクチンによるもの20例(うち免疫不全2例)、接触によるもの16例、であり、接触によるものは5カ月から37才であった。(※1964年の制度導入以降126名認定、死亡は6名認定)
また、伝染病流行予測調査報告書(1977〜1993年) によると、ワクチン関連マヒは22例(内訳はポリオ被接種者11例、接触感染が9例、免疫不全が2例)となっている。 厚生省予防接種後副反応報告書集計報告では(平成6年10月〜平成11年3月、約1050万接種)43例報告(うち基準外は22名)され麻痺6名のほか、アナフィラキシー様発作9名、腕関節部の発赤、脳梗塞1名、脳症1名、死亡2名(乳児突然死症候群、細気管支炎)発疹・蕁麻疹、発熱なども報告されている。
一方、「ポリオワクチンを巡る最近の状況と我が国の将来」ポリオ予防接種検討小委員会報告(2000年8月31日)によれば、「わが国のワクチン接種率は1981年以降は90%以上を維持している。現在のワクチンによる抗体獲得率は、1、2型がほぼ 100%、3型が90%である。今後も生ワクチンの免疫賦与能と神経毒力(麻痺)復帰は常に監視する必要がある。」とされながらも、妥当な政策を採られてきたことが明らかであるといえよう。3.不活化ワクチンは必要か
@ 世界の趨勢は不活化ワクチン
ポリオ接種に関して公衆衛生審議会等の場で議論がなされると思われるが、当面は「ポリオワクチンを巡る最近の状況と我が国の将来」ポリオ予防接種検討小委員会(2000年8月31日)に従って、経口生ワクチンが続けられてきた。しかし、世界の趨勢は不活化ワクチンであるとされている。(米国、フランス、ドイツ、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー)(審議会諸資料2002年8月9日の小委員会報告5頁)また、2002年7月30日の日本ポリオ根絶委員会の報告書によれば、「生ワクチンを不活化ワクチンに変更することを前提とし、具体的な検討に着手すべきであること」が提唱されている。
このことは、日本ポリオ研究所の強化不活化ワクチンが2003年4月から本格的な供給が可能と報告されているので、今回、いよいよ不活化への議論が始まったものと認識される。
A 不活化ワクチンの有効性と副作用への疑問
不活化ワクチンになれば、ワクチン関連麻痺の発生は無くなるが、不活化ワクチンの注射は効果にも疑問が残る。現行生ワクチンと同等の効果を得るためには高い接種率の維持が必要であるが、ただでさえ過密な予防接種スケジュールである上に、副作用の多いDPTとの同時接種ということになれば接種率は期待できない。
また、インフルエンザ、日本脳炎、三種混合ワクチンにみられる、不活化ワクチンそのものによる、脳炎脳症などの副作用が心配される。
B 導入時期にまたもご都合主義?
米国では2000年から強化不活化ワクチンの使用が勧告されている。日本ではこれを輸入する事なく日本製ワクチンができるのを待っていたと言われている。米国よりワクチン関連麻痺の発生頻度の高い経口生ワクチンを使用し、ワクチン被害者を出しながら待つのは誰のためだろうかとの疑問が医療関係者からも会った(2001年ワクチントーク大阪での報告)。そして不活化ワクチンになった途端、新たなワクチン被害はでないだろうか。
この事態は過去に極めて似た予防接種被害事例を思い起こさせる。MMRワクチンをライセンスが切れるのを十分な臨床試験がないままじっと待ち、接種開始し、たちまち欠陥を現したことである。4年間の未曾有の副作用を派生させ、今なお訴訟の場で争われている現実をどう捉えればよいのか。
C 切り替え時期の判断は?
またもっと以前に同様の判断ミスでの副作用を出し続けた例を忘れてはならない。痘瘡根絶時に適切な判断ができず中止が遅れ多数の種痘被害者をだした国の責任も思い出される。ワクチン接種と病気の制圧は必ずしもパラレルではない。日本ポリオ根絶委員会の報告書では、「地球レベルでの根絶証明後も一定期間(少なくとも5〜10年)同じレベルのワクチン接種率を維持したう絵でやはりポリオの発生がないことを確認できて始めて完全にワクチンを中止することができる」とされているが、不活化ワクチンによる副作用についてどのように考えているのであろうか。(過去のポリオ大流行が衛生環境状況の悪化したなかで起こったこと、日本における種痘接種中止が遅きに失したこと、その後の薬害HIV、薬害ヤコブ、ハンセン氏病、C型肝炎等の事例を省みての迅速なる対応こそポリオについても求められると思われる。
4.結論
結論は難しいが、まず経口生ワクチンを中止し、そのまま不活化ワクチン使用しないこと。百歩譲って、経口生ワクチンを中止して、実績のある不活化ワクチンを輸入して使用するか、が現在の選択肢であろう。少なくとも拙速なる不活化ワクチン導入には反対する。MMRワクチンでの教訓を忘れてはならない。麻しんの2回接種について
1、報告書より
2、麻しんとワクチン効果の限界
3、米国の状況とSecondary Vaccine Failure(SVF)
4、接種時期をどうすべきか
5、年長児、成人麻疹発症例と二度接種1、報告書より
「麻疹の現状と今後の麻疹対策について」(国立感染症研究所情報センター)によれば、 『日本では、麻疹ワクチン導入後患者数は著しく減少し、大流行にまでは至らないものの、ワクチン接種率の低い地域を中心にした地域的な流行がいまだに全国で繰り返されているとされている。小児へのワクチン接種率は最近ようやく全国平均で80%に達したが、地域によっては50-60%と低い状況にあり、麻疹の流行は中途半端に抑制された状態である。そのため、麻疹に感染することもなく、麻疹ワクチンの接種も受けていないまま成長した成人の間での麻疹(成人麻疹)の増加も目立っている』とのことである。
そして、『世界の多くの国が麻疹対策に積極的に取り組んでいる中、年間10万人規模の患者数の発生が推計される我が国の状況は、麻疹に関しては後進国であるとされ、麻疹潜伏期間中に日本を離れた日本人海外旅行者が現地で発症し、周辺に大きな迷惑を及ぼした事例も毎年のように報告され、日本は麻疹の輸出国であるとの不名誉な指摘も受けている』とされている。
続けて、『1歳以下への麻疹ワクチンの接種、成人を含む定期接種年齢を超えた7歳半以上の年代への麻疹ワクチン接種、あるいは小児への麻疹の2回接種など、麻疹対策として医学的にとり得る方法はいくつか考えられる。しかし我が国における現在の制度を活用しかつ有効な方法としてとることができる現実的な方法は、1歳の誕生日を過ぎた乳児になるべく早く麻疹ワクチン接種を行い、1歳児の麻疹ワクチン接種率を向上させ、まず麻疹の全体数を抑えることである。
今後の問題点としては、ワクチン接種を受けたにもかかわらず抗体が減弱していくため感染発症する@Secondary Vaccine Failure(SVF)の増加A妊婦麻疹およびそれに関連する新生児麻疹の発生B流行地域への旅行時の罹患・再罹患などが考えられるCさらに、麻疹ウイルスの抗原変異が進み、現行の麻疹ワクチンによる効果が減弱することも将来の問題として考えておかなくてはならない。
これらの問題を早い時期に解決するためには、第一段階としてワクチン接種率の向上(95%以上の達成が必要)によって麻疹の流行そのものをコントロールし、さらに第二段階として適当な時期に麻疹ワクチンを追加接種することにより免疫能を高く且つ長期的に維持する必要性があげられる。またこれと平行し、麻疹ワクチンの改良、開発のための研究を進めることも重要である』とされている。2、麻しんとワクチン効果の限界
麻しんは、一生に一度しか罹らないといわれていた。どの小児も1度かかるが免疫ができて2度罹ることがない病気であった。「麻しんはこわい、麻しんのワクチンは必ず打ちたい」という保護者の声も聞かれるし、小児科医もおしなべて接種を強く勧めている。
1978年に麻しんの定期接種が始まり、麻しんにかかる小児の数は減少したが、自然免疫による終生免疫をつけることができなくなったこと、流行がなくなって追加免疫を得られないことから2度罹る事例がでてきたこと、1才未満の乳児が麻しんに罹ることも問題とされる。
麻しんの減少には、まずワクチン以外の要因が重要であったことを見逃してはならない。第二次大戦後の日本では1947年27,030人、約2万人を超える小児が麻しんで死亡している。1つの病気で20,000人超の小児が死ぬということは大変な事であり、「命定め」と言われる位怖い病気だった。しかし、日本では終戦後、栄養がいきわたり、環境も衛生状態も改善され、国民皆保険ができという条件が整ってきた。1955年の高度経済成長期後、1963年には死亡者は1,000人を切り、1975年頃には100人を切った。ワクチンが導入されたのは1966年で、定期接種が始まるのは 1978年である。20,000人以上の子ども死んでいた病気の死亡数が100人を切るのに、ワクチンは貢献していないのである。3、米国の状況とSecondary Vaccine Failure(SVF)
ところが最近、「米国に日本人が持込むために米国で麻しんが流行する。これは、日本人のワクチンの接種率が低く、日本では麻しんが撲滅されていないために、日本人が麻しんを持ち込むからだ」といわれている。「日本の恥」とまでいう人々もいる。
では、アメリカではほぼ全員ワクチンを打っているのになぜ流行るのか。ワクチンをして流行を押さえているのなら、病気が入ってきても流行らないはずであろう。
報告書によれば、『アメリカ地域は麻疹根絶にもっとも近い位置にあり、南北アメリカを含めてそのほとんどの国において、予防接種率は95%を越え、内因性の麻疹伝播が阻止されている』とされている。アメリカで、ほとんど全員がワクチンをやっているところにたまたま日本人が行って、大学のキャンパスで麻疹が広がったということは、その地域内では、ほとんどワクチンの効果が薄れていてしまっているということである。
以前は、「生ワクチンだから感染と同じで一生もつ」「一生使える免疫だ」とされていた。しかし、ここでわかってきたことは、麻疹未接種の日本人が流行を持ち込むことが問題なのではなく、ワクチンは生ワクチンでも免疫状態が落ちていってしまうし、二度、三度罹るということが問題なのである。強力な生ワクチンであれば本物に罹ったのと同様、次に流行がきたときには発病しないで免疫が強化されただけで終るはずである。常に外からブースターによる刺激を受けていれば一生のうち二度かからないということになる。それが流行をなくすということで、ワクチンでは限界があることが明らかになったことに他ならない。全員ワクチンだけしかやったことのない免疫は次の刺激がないので流行ることになるのである。そのために、ワクチンを何度も接種するのがよい」とする接種2回論、3回論がでくるのである。4、接種時期をどうすべきか
このことは、日本においても問題とされている。母親から強力な免疫をもらうから、1歳未満の乳児はいろいろな病気に罹らないといわれていた。ところが、生後6ヶ月の乳児も麻しんに罹るようになった。母親がワクチン世代で、接種後、麻しんが流行しないために、麻しんに遭遇しなくなってしまったからである。母親からこどもに免疫を与えられないことになる。生後6ヶ月の乳児が麻しんにかかることは昔は考えられなかったが、今は小児科医が麻しんを見たことがない」ということが現実となりつつある。
そこで、「ワクチンをやってないのがいけない。早く打たなければいけない」という話になっていく。実際、「母親の免疫をもらった乳児に打っても、つかなかったかもしれない」として、「生後半年で打って、1才すぎたらまた打って、3才で打って、5才でまた打って」と主張している医師もいる。しかし報告書でも、『麻疹流行時の生後6−11ヶ月児における現行ワクチンの効果及び安全性は十分評価されていない』(報告書13頁)というのであるから』現時点で接種を勧めるべきではない。
今検討されている、2回目のワクチンを何才で打つのか。突き詰めていくと、人生80年の時代に、20年おきに節目のワクチン接種などというキャンペーンが出るのかもしれない。終生免疫を獲得するために接種を続けるという選択は始めるべきでなく、安全性の確認されていない1才未満接種は避け、1才後に接種の勧奨をすべきであろう。5、年長児、成人麻しん発症例と2回接種
報告書によれば、『近年の国内における中学校や高等学校を主な場とする幾つかの麻疹患者集団発生事例調査によると、麻疹ウイルスに同等の条件下で曝露した場合は、例え中学生以降の年長者であっても、これまで麻疹に罹患していなければ、ワクチン未接種者の方がはるかに麻疹を発症しやすいと考えられる』
また、『現在の野生の麻疹ウイルスは1980年代以降ウイルスのH蛋白に変異が生じており、現行麻しんワクチンでも麻疹ウイルスの感染予防には十分な効果があるものの、厳密にはワクチンに使用されている1950年代分離のウイルス株とは性状が異なってきている。野生株の変異蓄積が将来のSVF増加の懸念となるとする報告もあり、SVFに関しては麻疹排除を念頭に置き、ワクチン接種率の根本的な改善を図ることと、欧米のように2回接種の導入を検討することが必要となるであろう』とされている。
ワクチン接種率の根本的な改善を図ることは重要であろうが、2回接種の導入は慎重にすべきである。
2回接種(複数接種)の問題には、ワクチン自体の問題とともに、長年予防接種を行ってきたことで、病気や免疫を巡る関係がかわってきたことも関係しているとされる。ワクチンの功績の中で一番といわれている天然痘の撲滅は人類にとって幸運な特別例とされる。天然痘は人間にしか感染しないウイルスであり、症状がわかりやすく、不顕性感染もない。しかしポリオや麻疹は猿にも似た病気があり人間に感染する可能性もある。2回接種で足りなければ2回、ウイルスの変容があれば新しいワクチンというのでは、いたちごっこになる。複数接種しても撲滅は難しいのではないか。
また、副作用の問題を見過ごすことはできない。複数接種すれば副作用の確率はそれだけ確実に増えるのである。幸い、日本では麻疹の罹患数は問題とされているが死亡にいたることはまれである。「麻疹の流行下において乳児期後半の児を如何に麻疹感染から守るか」ということは、保護者及び臨床医、公衆衛生担当者にとって重要な課題ではあるがワクチンの接種回数を増やすことで解決できる問題とは考えられない。
また、検討事項ではないが、諸外国において成功が伝えられるMMRワクチンの導入がなされず、93年4月直後に生まれた年齢群に麻疹の抗体価の落ち込みが見られることは、1989年に杜撰な導入により副作用を多発させたMMRワクチンによる二次的被害ともいうべきものである。日本におけるMMRワクチンに対する拒否感は今なお拭いがたいものがある。麻疹の二回接種を議論する前に、MMRワクチン問題を総括すべきであること、この責任をうやむやにすることは、日本における感染症対策、予防接種行政の汚点であることを敢えて指摘する。以上
(注1)
ポリオは、杉並区在住のお母さんたちが、「ワクチンよこせ」と予防衛生研究所に押しかけてデモをして激しい市民運動の末に勝ち取ったワクチン。悪性ポリオ、いわゆるポリオウイルスに罹って呼吸筋が麻痺をして、今なら人工心肺、人工呼吸の装置も簡単に使えるのですが、当時は麻痺が出る間入れなければならない鉄製の強制呼吸器(鉄の肺)を使っておりこれが足りなかった。1年間で1000人以上の子どもがポリオに罹るような状況でワクチンがとても間に合わない、ソ連製のワクチンが効くというのに政府は「ソ連のこどもと日本の子どもは人種が違うから、効き方が違うのではないか」とか、「調査団を派遣する」とか、いつワクチンが出来上がるのか分からないような切羽詰った状態の中で、杉並のお母さんたちが予研にデモをかけた。
時の古井良美さんというお医者さんの厚生大臣が、ポリオのワクチンの緊急輸入を「学者たちがごちゃごちゃ言ってても始まらない私が決断します」という形で、緊急輸入をした。全国で2千万人近い分を緊急輸入して、どうやったら氷付けの状態,低温で北海道の果てまで運べるかとNHKも含めた大キャンペーンをやり、運んだということである。一斉投与の結果、確かにこれほどきれいに制圧されたというか、1000人以上出ていたのが、翌年二桁以下の患者になった。それから始まったポリオのワクチンですので、いいもの、すばらしいもの、ワクチンに対する評価というものが研究者の間でもずっと高かった。 日本ポリオ一社しかなかったことも幸いしてサーベイランスも素晴らしかった。
しかし、野生株のポリオの病気というのがもうここ30年近く日本にはない。でも延々とこれを使いつづけている結果、ポリオのワクチンの被害者は毎年出てくる。例え50万人にひとり100万人にひとりでも、病気のないもので被害が出るということはおかしい。
生ワクチンだから被害が出るのであって、生ワクチンじゃない新ワクチンに変えてこれからも続けようというのが、このポリオの生ワクチン中止の背景。しかし、接種することには変わりない。不活化ワクチンは注射である。生ワクチンは0.01ccのお砂糖の入った甘さもわからないくらいの量を赤ちゃんに飲ませているが、注射にしたら有効性への疑問や副作用の発生などの問題が出てくる。もういらないものを形を変え、こっちがよくなったということの話だけで続ける必要があるのだろうか。
(注2)
天然痘は確かに流行が少なくなり日本で天然痘の患者が出た最後の年は1954年です。しかし、種痘をしなければいけないという法律は1970年代の始めまで残った。その結果赤ちゃんたちがどれくらい天然痘のワクチンの犠牲になったか。集団訴訟の原告の一覧表によれば、1975年まで死者が出ているし、重篤な後遺症も認定されている。1951年までは病気があったからワクチンは必要だという言い逃れができるかもしれないが赤ちゃんが天然痘に遭遇して天然痘になる確率というのはその当時ですら、殆んどゼロに等しい。その中で、年間生まれてきた子ども全員にワクチンをやりつづけた結果被害者を出し続けたことを教訓とすべきである。1975年の9月3日に受けてなくなった方もいる。この頃はもう日本に天然痘などないのだからやらなくていいよというお医者さんもたくさんいた。でも行政は保健所はやりなさいという通知を出す。法律にある。そうすると保健所が言う学校が言うからやっといたほうがいい。湿疹ができてやらなくていいよとかかりつけのお医者さんがおっしゃったにもかかわらず、行政の案内がきたため行って被害にあった方もいる。
参考 福岡健康を考える会 小林玄徳医師の論文(2000年11月30日)
2002年9月28日のワクチントーク川越での母里啓子氏の講演より