2002年9月11日
情報通信審議会電気通信事業部会・接続委員会 御中
日本消費者連盟 古賀 真子
追加意見書去る2002年8月29日の、情報通信審議会電気通信事業部会・接続委員会合同公開ヒヤリングに於きましては、当連盟にも、公開ヒヤリングの機会を与えていただきまして、ありがとうございました。以下のように追加意見を述べますのでよろしくお取りはからい願います。
従来業者間の自由経済市場にゆだねられるべき接続料問題について、これほどまでの国家予算と時間と人材を投与して議論することに、大きな疑問を感じておりましたが、8月29日のヒヤリングでの東西NTTの方の発言でより一層その思いを強くしました。
基本的にNTTの再編が正常になされておらず、東西NTTの方の発言の随所に見られるように、相変わらずの電電公社時代の公共性を強調することで、最終的には赤字の負担を国民に付け替えるという、「親方日の丸的体質」に根本的な問題があります。
東西NTTは別会社であり、経営収支状況が異なれば当然経営戦略は異なるはずですが、別会社であるはずの東西が連名で一つの意見書を出されていることは、東西会社の同族意識の異常なまでの高さを物語っており、経営陣をはじめとする「もたれ合い」の体質をあらわしています。
百歩譲って、NTTの歴史的経緯や、特殊性を勘案したとしても、東西NTTの一体感と、優越的な地位ならびに、経営陣の意識には問題があります。経営効率化をより迫られているNTT西日本は、より厳しい経営努力をするべきであり、NTT東日本に依存すべきではありません。
第2に、NTT東西のもたれ合いを黙認している総務省の対応にも大きな問題があると考えます。
昨年、日本消費者連盟として、「マイラインによる消費者被害について改善指導のお願い」をしたとき、マイライン事業者協議会の窓口であるNTTの担当者と、総務省担当者の回答はほとんど同一でした。情報通信事業の心臓部とも言うべき接続料問題についても、総務省は目先の混乱を恐れる事なく、NTT再編の趣旨を全うし、国民全体がより安く上質な通信サービスを受け、かつ業者間でも公正な競争が促進されるために、毅然とした指導的立場を取るべきであり、行き過ぎた東西NTT擁護の立場をとるべきではありません。
今回のヒヤリングで、東西NTTが長期増分費用方式の早期廃止を求めていることは、もってのほかだと言わざるを得ません。NTT全体の経営体質に対する疑問、NTT優遇については、すでに国民の目にも明らかです。例えば電話加入権が実態は単なる「施設設置負担金」になり、債券的意味が全くないのに、債権者であったはずの国民に納得できる説明が未だになされていないこと、マイライン契約でも非常に有利な立場にあったこと(現在でも変更料800円が必要であり、他社に比べ優越的地位にあると言えます)、ADSL契約が意図的とも思われるほど待たされたり、その内容にうたい文句と齟齬があることなど、東西NTTは、未だに独占企業としての優越的な地位を保っていると断ぜざるを得ません。
今回の接続料論議においては、東西NTTは、この間の東日本の超過利益を情報公開することなく接続料の値上げ(ZC)を求めていること、入力値入れ替えについて、トラヒックの動向から、自社に有利な実績反映を求めること、精算制度の導入を求めるなどは、一方的に東西NTTの利益のみを主張するものです。接続料問題に疎い消費者に、「赤字があるから、基本料値上げせざるを得ない」と説明されるとしたら、まず、この間の収支状況を東西別々に明らかにさせるべきです。黒字のNTT東日本が平均値に甘んじて、最終的には消費者に負担を転嫁させることは許されません。
ヒヤリングの場で、私が相互支援制度終了後の対応について質問した際、NTT西日本の方が、「東西NTT間で新たな支援体制の仕組みを考える」と回答されました。東西に分割したのは総務省の勝手であり、同族会社として今後も依存し合うのが当然だといわんばかりの対応です。
さて、基本料値上げについて、補足致します。残念ながら、今回のヒヤリングの場において、どの接続事業者からも「接続料を下げれば通信料は下がる」との確約はされませんでした。しかし、接続料が通信料の低廉化を図ってきたことは事実であり、き線点RT導入によって生じた、従来、接続事業者が負担すべき値上げを、消費者が利用控えなどで対抗できない「基本料値上げ」という形で強行されることは許されません。き線点RTコストの導入が基本料の値上げにつながるのであれば、消費者としては当該技術の導入には反対したはずです。情報の与えられていない消費者が、業者間の利害調整の尻拭いをさせられることは到底納得できません。
まずは、東西NTTのもたれ合いを排除し、現状においては、「あたりまえ」の競争をさせる前提条件を整備したのち、接続事業者も含めた経営の効率化を図ることこそ重要です。NTT西日本は、「施設を貸しながら赤字では耐えられない」と発言されていますが、この3年間のNTT東日本のヒストリカルベースの接続料は長期増分費用を下回っていたと聞いています。東西格差を捨象して相互支援の持たれ合いを許したまま、接続料値上げや基本料値上げの議論がされることは許されません。競争政策上の観点からも、コストの格差があるのに、全国一律料金を適用することは高コスト地域の競争を停滞させ、低コスト地域の事業者の経営効率化のインセンティブを損なうものです。
なお、8月28日のヒヤリングで、入力値の入れ替えについては毎年入れ替え、精算も検討すべきとしましたが、長期増分費用モデルを採用する以上、経営効率化のインセンティブを与えるためには入力値は固定することが望ましいと考えますので、そのように一部意見変更いたします。
また、他の事業者もトランクポートにおける不要回線利用を止め、効率的な設備を構築すべきである点付け加えます。以下の点につき強く要望します。記
1、接続料を欧米並水準にまで下げることを基本原則とすること。
2、NTT東西の相互支援制度が終わる2002年度からは東西別料金とする旨の前回の答申を守ること。
但し、不況下での値上げはNTT西日本については特に深刻な影響があるというのであれば、緊急避難的にNTT西日本についてはモデル値(東西平均値)を適用し、NTT東日本については、原価まで引き下げること。
3、現状では、NTSコストは全て端末回線コストに帰属させるべきであり、基本料には振り替えないこと。
4、東西NTTは、「投下資本の回収」や労働者のリストラを持ち出す前に、過剰な投資としての経営責任をまず明らかにすること。
4、効率的な設備の構築などコストの削減に東西NTTのみならず、接続事業者も努めること。
5、低所得層への社会政策的配慮を検討すること。ユニバーサルサービス基金の制度化についての議論を進めること。以上