2002年8月29日
長期増分費用方式による接続料算定の在り方について日本消費者連盟 古賀 真子
平成14年8月1日付情報通信審議会「長期増分費用モデルの見直しを踏まえた接続料算定の在り方について 答申草案」(以下草案とする)に基づき、以下の論点について意見を述べる。
1、NTSコストの扱い
NTSコスト(一部)を回線単位で回収するとした場合、
現状の従量制接続料から、(@)基本料に振り替える(転嫁する)ことには反対する。また、(A)定額制接続料で回収する案については、経過措置後の基本料への転嫁の可能性が高いことから、今後の議論についての詳細な情報公開と、転嫁される者に対する意見聴取や幅広い議論が必要である。
(理由)
@現行の基本料体系自体、コストとの対応が不明確である上に、基本料という独占的料金へのコストの安易な付け替えを認めることは競争政策上問題であり、直接不利益をうける消費者の立場からは容認できない。
A負担すべきコストを発生原因に応じて回収されるべきとしながら、回線単位で回収させることについては納得できる回答がされていない。基本料換算コスト(草案22頁表6)から、1回線あたり512円のコスト上昇となるが、コスト回収方法を一度に変更することへの抵抗感から、政策的にき線点RTにしぼって、約107円の値上げとされている。 この料金設定は極めて政策的であり、今後のスタンダードとしての安定性に欠ける。基本料の安易な値上げへの先鞭となるのではないかと懸念される。
B競争の困難な市場で接続料を下げることで通信料を下げてきた審議会の、そもそものスタンスに反するのではないか。
C総じて、経済情勢がデフレ傾向が継続し、公共料金が下がっているなかで、公共料金的意味合いの強い基本料への転嫁は、相対的に経済的弱者への負担を強いるものであり容認できない。
D基本料への転嫁を認めない場合、米国では、NTSコストを含む加入者回線コストの一部を定額制加入者アクセスチャージや従量制の事業者共用回線使用料で一時的に負担したといわれているが、最終的には事業者から消費者への基本料負担へと転嫁されているようである(23頁)。接続料が下げられ、各事業者が十分な努力を行い、公正な競争の結果、なお、結果として消費者へのコストの転嫁が必要とされる場合はやむを得ないが、接続料を下げるために、事前に基本料を上げることは本末転倒である。まずは、接続料を欧米並水準にまで下げたうえで、競争原理を導入することが事業者の多様なサービスが期待できる点で消費者にとってメリットがある。
E 前回の接続料自体の妥当性についての検証がされているのか疑問である。(固定電話の単価は下がっているのではないか)2、入力値の入れ替えについて
電気通信市場の急激な変動から、総体的には、トラヒックが減少傾向であることについては見解が一致している。今回改定の長期増分費用モデルでは、TSコストに占める固定費の割合が現行モデルに比べて上昇している。トラヒック減少場面では、接続料が構造的に上昇することとなり、消費者にとってはメリットが薄い。
入力値がいつの時点のものか、実測か予測か等で、トラヒック入力値の更新は労力がかかるとのことであるが、接続料算定の根幹にかかわる問題であるので、迅速に現状に対応した精算がされることが望まれる。
現行モデルでは、トラヒック減少により、接続料単価が上がったことにより、NTT東西はコストが回収しやすかった反面、他の事業者のコストは上がり、結果として消費者へは利益の還元が十分されないという事態ではなかったかと思われる。市場の変動に対応すべく、1年毎に見直し、予測値での入力をした後、実質に基づいた精算制度を導入すべきではないか。3、東西別料金の設定について
現状では、東西格差は公共性という立場から、平均値という、実質的には低いレベルにあわせる接続料が算定されている。現モデルにおける収支を検証したうえで、公共料金的性格のなかで、全国的な公平なサービスをどう捉えるかを再検討する必要がある。原則的には、産業の根幹となり、かつユニバーサルサービスの対象でもある接続料については、国内で地域価格差を設けるべきではない。
しかし、長期増分費用モデルで目指した趣旨を徹底する立場から、収支均衡に問題のある西日本は、平均値をもって接続料を算定し、超過利益を得ている東日本についてはより低廉な接続料を算定することも視野に入れるべきである。
(理由)
@現モデルを検証すれば、東日本が超過利益を得る事は明らかである。(14,29頁)
ANTT東西の収支の推移によれば、平成14年度は赤字基調ではない。
B審議会からの質問に対して、NTT東西はユーザー料金を全国一律で提供することに対する社会的要請が強いと回答されているようであるが、収支状況の悪い西日本がモデルに反する値上げを要請しない代わりに、超過利益を得ている東日本が沈黙を守っていることは、消費者の立場からは疑問である。4、その他