2002年 日消連第15号
2002年7月2日
『IT競争政策特別部会 最終答申(草案)』に対する意見書 日本消費者連盟
代表運営委員 富山 洋子日本消費者連盟にも、急速なIT化の中で、消費者からの苦情が増加している。特に、昨年のマイライン制度導入時には、過剰な顧客獲得競争により、強引な勧誘により電話会社を選択させられたり、契約していないのに勝手に契約させられた結果、通信費用が増大したという、多くの苦情相談があった。日本消費者連盟では、電気通信事業者、マイライン事業者協議会、総務省に質問状を提出し、それぞれの責任者から、事情説明をお聞きしたが、制度導入前に、消費者への、被害救済のためのセーフティネットが整備されない状況で、制度を導入することの問題点をまず、指摘したい。以下、草案を引用しつつ意見を述べる。
第3章 消費者行政の充実
一、42頁 1.消費者支援策の意義と現状について。
基本的認識として異論はない。今後の消費者被害、トラブルの増加傾向はますます強まると考える。トラブルを事前に防ぐためのセーフティネットの整備は早急に必要である。電気通信サービスのように、技術的・専門的であり、かつ変化の激しい分野では、事業者と消費者の格差は単に42頁注2の言うように、「情報格差を是正し消費者に合理的な選択を促す」ことでは消費者保護をはかることはできない。そもそも情報を適切に入手できるのは、高度なIT知識を有する消費者であるので、この問題を考える場合の消費者とは、IT知識をあまり有さない一般の消費者を対象として考えるべきである。その意味では本項は「消費者支援」ではなく、「消費者保護策」とすべきであると考える。
二、 43頁のEで、「電気通信事業者が消費者に対して電気通信サービスを提供することに伴う問題にかかる問題を中心に扱う」とのことであるが、後段にいう「一部の電気通信サービスの利用者が行う不適正な利用によって他の消費者に被害が生じる問題」のうち、純粋に消費者相互間におけるトラブルと、電気通信事業者ではない中間情報サービス提供者による消費者被害問題については、より詳細なモデルケースを想定したうえで、法制度の整備も含めて早急に検討すべきであると考える。(63〜64頁の報告はもっと詳細に検討されるよう希望する)
三、45頁(b)各機関における消費者対応体制等の現状と問題点
1)消費者からの苦情・相談の対応について
昨年のマイライン制度導入時には、日本消費者連盟に寄せられた相談の一つに、「「電気通信消費者相談センター」に相談しようにも、電話がつながらない、または、相談したが、業者に言うようにと言われただけで相談にのってもらえない 」というものがあった。この点、電気通信消費者相談センターで、どのような体制で、どの程度の相談がされているのか、また解決にまで至っているのかなど調査検討する必要がある。特に解決までできるかが消費者にとって重要なポイントである。
(イ)国民生活センターは、苦情相談業務をする所としては、もっとも消費者に近く、持ち込まれる件数も最大であると思われる。しかし、電気通信サービスのように、技術的・専門的であり、かつ変化の激しい分野での相談実務が対応できていないのではないかと思われる。従って、国民生活センターに限らず、各地の消費者センターなどの相談業務にあたる人については、52頁で指摘されているような消費者支援を行うための人材育成の推進は早急に必要である。53頁(c)研修・資格制度創設の検討は必要であると考える。
(ウ)被害情報等を一番把握しているのは、事業者協議会等の業界団体である。マイライン制度導入における、申し込み用紙の不備について指摘したところ、マイライン事業者協議会は、「(訪問販売法(当時))法律には違反していない。電気通信サービスは指定役務ではない」「導入には消費者団体の意見を聞いた」というもので、消費者保護の観点を感じられなかった。消費者契約法、特定商取引法などの適用除外とならないよう、消費者保護の視点に立った関係機関での調整を要望する。
四、46頁2)消費者からの意見を行政に反映させる仕組みについて
98年の創設された「意見申出制度」の申し出が8件にとどまり、活用が低調である原因は何かを積極的に追求して、制度の改善を図る必要がある。
五、46頁3)電気通信の不適正利用に関する対応について
ことがらの性質上、どうしても後追いであることは否めない。「プロバイダー責任制限法」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」などは評価できるが、消費者にはあまり知られていないようである。わかりやすい、周知が必要である。
六、47頁 4)消費者向けの情報提供及び他機関との連携について
冊子の作成は必要であるが、まず、個別具体的な相談実務の充実が必要である。行政と消費者団体の連絡会(53頁)、定期的説明会の実施はぜひとも必要である。
また、米英におけるような、消費者問題を専門に担当する部署の強化、充実が必要である。電気通信分野においては、契約期間、契約内容がわかりにくい(通知は後で来る)、日常不可欠の継続サービスであるために、代替手段についての情報がないため、解約や苦情申し立てしたくても泣き寝入りさせられる場合が多いと思われる。消費者被害の大きい問題については、紛争処理ルール、罰則を伴う実効性あるルール作りが必要である。59頁〜60頁(b)消費者からの苦情・相談の円滑な処理のための体制構築には賛成する。横断的なODR機能を含めた紛争処理機能も必要である。
七、54頁〜56頁 (2)消費者向けの情報提供の推進について
当然のことながら、積極的推進を望む。電気通信事業は、技術の進歩が早く、機器の設定等には高額な負担も必要であることから、金融商品販売法などにおけると同様の重要事項説明・確認義務を事業者に課し、これらの義務を怠った場合は損害賠償額の推定規定、消費者の立証責任の軽減なども図られるべきである。以上
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