2002年6月5日
2002年日消連 第11号

厚生労働大臣
坂口 力  殿

日本消費者連盟
代表運営委員  富山 洋子

     BCG接種および結核対策についての申し入れ

冠省 ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
 本日、結核対策の審議会報告を受けて大臣への諮問がなされると聞き及び、予防接種問題に取り組む市民の立場から、以下のように申し入れさせていただきます。よろしくご配慮いただきますようお願い申し上げます。

子どもの健康にとって、予防接種の必要性、有効性、安全性は大きな問題です。我が国の感染症対策としての予防接種は、自然感染のおそれがないのに義務を課して行い、重とくな被害を産み続けた種痘にはじまり、学童への意味のないインフルエンザ予防接種、危険性が早期どころか制度導入前にも明らかであるにもかかわらず、危害が続出しながらも接種を続けた(現在訴訟中の)MMRワクチンなどにより、多くの被害者を産み続けてきました。

 ほとんど、唯一の結核対策としてのBCG接種については、従前より、BCGワクチンの再接種の必要性が疑問視されていました。
 結核患者数は、どこの国でもBCGワクチン接種制度の導入以前から激減しています。結核予防にとっては、環境条件、衛生条件、労働条件などの社会的な諸条件の整備が最も有効でかつ必要だったことが明らかです。近年、日本では、BCG接種を実施してきたにも関わらず、逆に結核患者数が微増する傾向にあります。行政が結核対策をBCGに頼るだけで、特に都市部での環境条件の整備を怠ってきたことが、結核患者数をむしろ増やすことになりました。これは、2001年7月より厚生科学審議会感染症分科会結核部会が2002年3月20日に報告された『結核対策の包括的見直しに関する提言』のなかで、的確にまとめられている報告書からも明らかです。
 1994年に、予防接種法および結核予防法が改正され、結核への対応策の一つとして従来行われてきたBCGワクチンのほか、すべての予防接種は、強制的な接種ではなくなりました。BCGワクチン接種については、再接種の有効性に疑問がだされているにもかかわらず、全国的に接種が強制されてきました。現実にはツベルクリン検査が学校保健の枠組みの中で「義務」であること、学校で行われるためBCGワクチン接種についても強制が行われ、従前より私たち市民団体にも保護者の疑問の声が多く寄せられていました。
 BCGワクチンの再接種の有効性を否定する研究結果が数多く出ており、世界保健機構(WHO)が行った15年にわたる調査でも、ワクチンを接種した群と接種しなかった群の間で結核罹患率に差はなかった、ということが明らかになりました(そのほかの研究報告の結果は有効率80%からマイナス50%の間でばらついています)。
 日本結核病学会は、これらの研究報告を受けて、小学校1年生のBCG接種を廃止すべきであることを明確に提言したのが、1991年です。そして1999年に厚生省(当時)も廃止の方針を打ち出し、公表しました。それにもかかわらず、薬品メーカーによるワクチン在庫処理の圧力が強く、集団接種が継続されていることについては従前の薬害と同一の医師会やメーカー保護に傾いた行政の姿勢が問われることでしょう。
. また、忘れてはいけないのは、BCGワクチンの安全性は立証されていないということです。他のワクチンと同様、最も安全性が高いといわれるBCGワクチンでさえ、副作用による事故が後を絶ちません。厚生労働省は認めていませんが、認定患者の10倍以上の被害者がいると推定されます。
 予防接種は、治療行為ではなく、あくまでも健康な人に対してなされる医療行為であって、本来、副作用被害など起こしてはならないはずのものです。しかし、わが国では、接種行政をすすめる行政がほとんどの被害を認定しないばかりか被害情報さえ公開しない政策を取り続けており、被害実態は説明されずに接種が強制されてきました。

 今般、ツベルクリン検査と、BCGワクチンの再接種が遅まきながら廃止されたことは評価されることです。また、前出の『結核対策の包括的見直しに関する提言』が法制度として、また実務においても効果的に実行されるのであれば、結核対策と学童期における、無意味な接種の強制もなくなるものと歓迎いたします。
 本日、結核対策の各審議会報告を受けて大臣諮問がなされると思料し、予防接種問題に取り組む市民の立場から、以下のように申し入れさせていただきます。よろしくご配慮いただきますようお願い申し上げます。


一、 『結核対策の包括的見直しに関する提言』を尊重し、一律的集団的対応から、患者発生時の患者周辺への個別対応(感染源対策、接触者検診の強化、診断の向上など)に重点を移行させる方針を徹底させること。

二、効果がなく、安全性にも疑問のあるBCGワクチンの再接種の廃止が、一律的な乳幼児期の初回接種への移行として経済的穴埋め理論で進められることのないように要望する。乳幼児接種についても、一律に効果が薄れる三歳児までの漫然たる接種制度ではなく、特に地域差に応じ、多発地域では生後六ヶ月以内の接種体制を徹底させること。

三、二については最低過去10年間の小児結核患者数とBCGワクチン接種による副反応者数を把握し、廃止の代替手段をとること。

四、ツベルクリン検査の全面廃止との報道がされているが、乳児でも接触感染している疑いのある層や、いわゆるハイリスク層、デンジャー層についてはツベルクリン検査を活用する方法を残すこと。

五、行財政改革の名の下に、地域保健の中核となる保健所の統廃合がすすめられているが、感染源はあくまでも成人である。感染源での対策は重要であり、成人結核診断の充実、接触者検診の強化のため、保健所機能の充実拡大を求める。学校でのツベルクリン検査の廃止にかわるものとして、特に、保健所での検診の充実拡大を求める。

以上

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日本消費者連盟(担当 古賀真子)
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