消費者主権宣言
−世界消費者権利の日に−

 日本消費者連盟は、1969年に創立した財政的にも政治的にも自立している消費者団体です。
私たちは、創立以来、「すこやかないのちを未来へつないでいく」ことを運動のもっとも大切な理念として様々な課題に取り組んでいます。
この理念には、どこでも誰でも生き生きと自らの生を全うできる政治、経済、社会の仕組みを次の世代にしっかりと手渡していくという意味が込められています。
 従って、一人ひとりのいのち、いのちを維持する水、空気、食べもの、それらを育む環境、そして平和を第一義の政治的課題とするべきであると主張してきています。
 日本国憲法の前文には「われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」と高らかに謳われています。
 私たちは、政治的に主権者であるばかりでなく、自然から頂いたいのちの糧である水、空気、食べものを消費し、いのちを未来へつないでいく営みをしている消費者としても主権者です。
 質・量ともに安心できる食料、水を得られることこそ基本的人権です。
 しかし、昨年9月に日本で発生したBSE(牛海綿状脳症)の例からも、私たちの基本的人権が踏みにじられていることが明らかです。
 BSEの根本的な原因は、牛のいのちを歪めた畜産にあると考えますが、日本における発生は農林水産省の犯罪的とも言うべき手抜き行政の結果です。
 しかしながら、この手抜き行政に関与してきた政治家、官僚は誰ひとり責任をとっていません。
 その後の農林水産省の対応も業界に顔を向けたものであり、私たち一人ひとりのいのちを配慮したものではありません。
 私たちのいのちや健康を守るべき厚生労働省も、その役割をきちんと果たさず、この間、農林水産、厚生労働両省の縦割り行政の弊害が浮き彫りにされています。
 更に、雪印食品による「牛肉偽装・虚偽表示」をはじめとして、スターゼン、全農チキンフーズ等々食品企業の詐欺行為が次々と発覚しています。
 このような私たち消費者の権利をないがしろにしている事態は、未来を担う子どもたちの心身両面に暗い陰を落としています。
 おざなりの改革では、子どもたちの未来は暗澹としたものになると断じざるを得ません。小泉首相は、BSE問題を機に、農水、厚労両省から独立した機関として、食品安全庁の設置を示唆していると報道されていますが、食糧事務所の転用など、旧態の組織を引きずったままで両省の関連部局を統合しただけという内容では、何ら問題解決にはなりません。
 何よりもいのちを大切にする政治、行政の確立をめざし、その中に食品安全行政をきちんと位置づけることが求められます。
 昨年9月に、アメリカで起きた同時多発テロをめぐる日本政府の対応は、日本を戦争への道に走らせていると捉えられます。私たちは、「有事法制」や憲法「改正」のための国民投票法(案)を国会へ提出するという動きに、その危惧を一層強めています。
 3月15日の「世界消費者権利の日」に因んで、私たち消費者は、一人ひとりが生き生きと安心して暮らしていくために、主権者として日本政府に対し、憲法を活かした政策を実行するよう求めて、声を上げ行動していくことをここに宣言します。

2002年3月15日  
日 本 消 費 者 連 盟
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