2001年4月20日

厚生労働大臣 坂口力殿

コーデックス委員会バイオテクノロジー応用食品特別部会日本政府代表団に関する要望書

申し入れ団体 遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
代表 天笠啓祐                 
日本消費者連盟 代表運営委員 富山洋子

 2001年3月25日から29日まで、千葉県幕張で開催されたコーデックス委員会バイオテクノロジー応用食品特別部会は3月27日、実質的な討議を終え、「モダンバイオテクノロジー由来食品のリスク分析の一般原則」の予備的報告書(CX/FBT 01/4)を採択し、「追跡可能性に関する討議文書(フランス作成)」を来年3月の特別部会で再討議することを了承し、「組み換えDNA植物由来食品の安全性評価実施のガイドライン」の予備的報告書(CX/FBT 01/5)を採択しました。また今後、「微生物由来の遺伝子組み換え体の安全性に関する特別作業部会」を設置し、アメリカが議長国となり2003年までに報告することを了承しました。3月29日には、これらの内容をまとめた中間報告書を採択し、又、カナダが議長国となり、「GM食品アレルギー作業部会」を設置することを新たに決めました。
 日本政府代表の本会合における行動は日本の消費者にとって到底納得できないものであった。以下のような問題点につき、私たちは厚生労働省に対して以下の事項を要望する。

一 今後は政府の方針について事前の情報公開をし、広く市民の意見を反映させる場を設定すること。オブザーバー参加の枠を拡大すること。傍聴の枠を拡大し、本会議場での傍聴を認めること。本部会の議題に関しては、事前に政府の方針を十分に情報公開せず、また国民の声を十分に反映させようとする姿勢が全くみられなかった。会議の代表団としても日本国内の消費者・市民団体の参加に消極的であった。

二 厚生労働大臣は代表団の人選についての選考過程を国民に公表し、今後は食品の安全性の影響を受ける消費者・市民の納得のいく代表を選定し直すべきこと。特に宮城島一明氏については政府代表としての資格付与がどのようになされたのかを釈明し、以下のような理由により氏を政府代表からはずすこと。

 日本政府代表団では、とくにTechnical Adviserたる宮城島一明氏が中心となって発言し、議事の提案を行ったが、氏は以下のようにGM食品の市場化の推進論に立ち、あるいはその旗幟を鮮明にすることがないまま、多くの場合、アメリカやカナダなど、遺伝子組み換え食品の輸出国に賛意を示す態度を取った(ちなみに氏は2000年6月刊、村田幸作・清水誠編『遺伝子組み換え食品がわかる本』法研、において行政の立場から推進論を展開している。また2000年に行われた本特別部会の作業部会議長としてGM食品の推進役を果たした。)。この行動は日本の消費者・市民にとって敵対するものであったのである。

@宮城島氏は、"追跡可能性Traceability"の議題を始めに行うかどうかの議論(3月25日午前)において、スウェーデン(EU)、オランダ、イタリア、ベルギー、フランス、ドイツ、ポルトガルが重要な議題であるため、先に議論すべきとしたのに対し、アメリカ、カナダ、ブラジル、タイとともにその必要がないと強く主張し、スターリンクコーン事件を経験した日本の消費者の立場を裏切る主張をした。吉倉議長は妥協案として、予備的報告書CX/FBT 01/4のパラグラフ19の前に時間をとってtraceabilityの議論をすることを保証した。
A宮城島氏は、予備的報告書CX/FBT 01/4のパラグラフ6において「モダンバイオテクノロジー」「(比較対照とすべき)従来の食品Conventional Couterpart」の定義を検討した議論(25日午後)の中で、「バイオテクノロジーの安全性を検討するための比較対象物としては、安全な食品を取り上げればよいのであり、それには市場化されたGM食品でも非GM食品でもよい」と述べた。これは遺伝子組み換え食品の安全性を検討するのに際し、こともあろうに、遺伝子組み換え食品を比較するということであり、これは日本の消費者にとって敵対的な態度と言わざるを得ない。
BCX/FBT 01/4のパラグラフ14におけるリスク管理の議論(25日午後)において、スウェーデン代表がリスクアセスメントの保障のためには、環境、消費者の選択権、持続可能な発展などの要素を考慮すべき、と述べ、ヨーロッパ諸国代表などから多くの賛同があったが、アメリカ、オーストラリアなどが一般原則部会など他の部会での議論に回すべきと主張しリスク分析の議論を薄めようとした。これについても宮城島氏及び他の日本政府代表は、根拠も明示せずにアメリカなどに追従した。これはリスク分析の真剣な議論を避けようとするものであった。
このパラグラフは29日の報告書には両論併記となった。
CCX/FBT 01/4のパラグラフ19の「Traceability」の議論(26日午前・午後)において、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ブラジルなどGM食品の輸出に利害を持つ国だけが削除を主張し、ほとんどの代表団が中間報告書に明記すべきとした。ほとんどの代表団が賛否を表明する中、宮城島氏は意見を述べず、別室でのランチミーティングでの議論を提案し自らその議長になることを申し出た。その中でこの文言を脚注に落として各国の同意をとりつけようとの動きをみせたが、これは会合における公平な交渉方式を阻害し、全体での公開協議を妨げたのである。(最終的にはこのパラグラフは中間報告書には残ったものの[]が付けられたままとなった。)
DCX/FBT 01/4のパラグラフ23の「ハーモナイゼイション」の議論(26日午前)において、コーデックスの基準が世界標準となり、各国の主権に基づく規制方法をも左右しかねないことから、各代表団から、真剣な議論が行われる中で、宮城島氏は沈黙し、日本の安全行政の責任を放棄させることに荷担した。このパラグラフは最終的には削除された。
ECX/FBT 01/05のパラグラフ58の議論(27日)で抗生物質の残留問題が討議された際にも、抗生物質の利用の有用性を主張する意見と、規制強化を主張する多くの意見表明に対し、宮城島氏は発言せず、都合の悪い議題には態度を明らかにしない立場をとった。(この問題に対しては、吉倉議長がバンコマイシン耐性の問題を取り上げ、この原文はそのままとなった。)

三 バイオテクノロジーに由来する食品の安全基準をめぐる議論であるにもかかわらず、日本政府代表団は総じてバイオテクノロジー食品の市場化を推進しようとする側面ばかりを強調し、結果的に日本の消費者の安全性重視の立場を阻害したと言わざるを得ない。政府代表団が今回のように日本の消費者の意に反すると思われる結果を招く会議を開催・運営したことについて、厚生労働省としての釈明を要求する。

連絡先 日本消費者連盟 山浦康明
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