2001年3月29日
経済産業大臣
平沼赳夫様
特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)の見直しに関する要望書 廃棄物を考える市民の会
千代田区麹町2-7-3
代表 松岡宥二日本消費者連盟
目黒区目黒本町1-10-16
代表 富山洋子家電リサイクル法の施行が目前に迫って参りました。
政府は、昨年、2000年を循環型社会元年と位置づけ、既存の廃棄物リサイクル法の上位法として「循環型社会形成推進基本法」を成立させました。
その意味においては「循環型社会」スタート直後に施行される家電リサイクル法はまさに我が国の循環型社会の行方を占う重要な法律といえるかもしれません。
しかしながら、この法律はその枠組みそのものが「循環型社会」を真に実現させる内容のものになっているとは到底いえません。
なぜならば、同法は製品が廃棄された後の生産者責任(製品価格へのリサイクル費用の内部化)を根本的に問うことなく、これをあえて回避するものになっているからです。
具体的には、リサイクル、収集・運搬費用を消費者から廃家電排出時に徴収することができる(同法11条、19条)としたことです。
製品が廃棄された後の生産者の責任は拡大生産者責任(EPR)ともいわれています。
EPRとは、回収、処理、リサイクル、ならびに環境上健全な処分を含めた廃棄物に対する生産者の財政的責任をいう(OECD報告やEU指令)わけですから、EPRに基づいた法律は当然のことながら、リサイクル、収集費用は製品のコストに内部化されなければなりません。
生産者が廃棄物になった場合の製品に対して財政的責任を持って初めて製品の耐久性、修理性、あるいは機能向上性、分解性、リサイクル性を考慮した環境対応設計を促すという効果が発揮されるわけです。
従って日本の家電リサイクル法がこのEPRを回避して消費者から徴収した料金で廃家電をリサイクルする方法をとったということは、これらの効果を放棄ないしは法の目的にしていないことを意味します。
現に法律のどこをみても、リサイクル施策の優先順位の上位に位置すべき発生抑制(リデュース)を担保する条文はありません。
メーカーの法律対応をみても、いかに消費者から料金を上手に徴収するか、いかに戻ってきた廃家電を効率良く分解し、リサイクルするかのみに腐心し、製品の耐久性、修理性、機能の向上性などは全くと言っていいほどその視野に置かれていません。
また、当然のことながら予想される不法投棄についても「廃棄物処理法上は市町村の仕事」として「我れ関せず」を決め込んでいます。
またこの法律では有害物質(鉛、水銀、カドミウム、六価クロムetc)の使用制限に関し、一切の言及がないのも大いに疑問です。
法律施行後は大量リサイクルの名の下にいろいろな意味で環境負荷汚染がさらに拡大、拡散されていく恐れも指摘せざるを得ません。
以上の理由から同法の見直しを以下の通り要望いたします。@法律の目的に廃棄物、リサイクル施策の優先順位を明確にし、リサイクリングターゲットの中 に再使用(リユース)を含める。
A廃家電に使用されている有害物質についても優先順位を明確にし予防原則(Precautionary Principle) に基づき家電製品の環境対応設計の推進を図る。
また、そのための具体的な使用制限(Substance Ban)ターゲットを設ける。
B @Aを実現するためにはEPR理念の導入が不可欠。即ち生産者責任に基づきリサイクル収 集費用を製品価格に内部化すること。消費者はそれを買うという形で負担する。(外部コストの 内部化)
C特定(4品目)家電だけでなく広範な電気電子機器を対象品目とする。
D @ABCの見直しを同法附則3条「施行後5年を経過した場合において、この法律の施 行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」 を根拠としこれを前倒しして5年を待たずに行う。少なくとも5年後には見直し法スタート の目標で作業を直ちに行う。また、同法附則第3条は法律の部分的な改正を意味するものではない。「不法投棄が増加した。対策を強化する。」という現法律を補強するという悪循環的対応に始終しない抜本改正を視野にいれること。
なお経済省においては平成8年から(財)製造科学技術センター内にインバースマニファクチャリング フォーラムを設け循環型社会構造のために社会面、技術面から研究に着手されています。
その基本コンセプトはいうまでもなく単に使用済み製品を入れると素材が出てくるという逆工場製造システム(インバースファクトリー)をビジネスとして動かすということはなく、環境負荷回避を十分に考慮した循環型の総合生産システムの確立であるはずです。
そのためには消費者を経た廃棄物についても基本的に生産者が責任を負う生産者責任を明確にすること、即ち外部不経済を製造プロセスに内部化することが必要であり、これこそ循環型社会経済の根幹をなすものといえます。
片方でそうした研究に着手しながら、片方ではそれとは無縁の法律(家電リサイクル法)を成立させるというような不整合は許されません。
あるいはインバース マニファクチャリングを標榜しながら、実はインバース ファクトリーをつくるための民間企業支援事業でしかないというようなごまかしも、公費を使っての事業である以上同じく許されない行為です。
インバース マニファクチャリングの具体化という観点からも家電リサイクル法の早期見直しが必要であることを最後に申し添えたいと思います。以上