2000年12月18日
厚生大臣
坂口 力 殿ワクチントーク全国 代表 毛利 子来
予防接種情報センター所長 藤井 俊介
日本消費者連盟代表運営委員 富山 洋子平成12年度厚生科学研究費補助金 新興・再興感染症研究事業
「乳幼児に対するインフルエンザワクチンの効果に関する研究」他についての質問なら びに緊急申入れ時下 益々ご清祥のこととおよろこび申し上げます。
私たちは、予防接種の問題について市民の立場から運動している団体です。12月7日に保健衛生局結核感染症課の原嶋補佐より金田誠一衆議院議員に送付された標記の研究事業の内容につきまして、質問ならびに申入れをさせていただきます。ご多忙中恐縮ですが、質問につきましては、来る12月27日までに文書にてご回答いただきますようお願い申し上げます。記 1.質問について
一.「乳幼児に対するインフルエンザワクチンの効果に関する研究」(主任研究者神谷齊(国立三重病院院長、小委員会座長、感染症部会委員))の詳細について貴省は、次国会で、予防接種法を改正し、高齢者へのインフルエンザ予防接種を法に位置づけたいが、小児への接種は念頭においていないとされています。
公衆衛生審議会の感染症部会の下、予防接種問題検討小委員会の最終報告書は、高齢者へのワクチン接種の有効性については一定の有効性ありとしたものの、子どもについての有効性については、今後の調査研究の対象とされています。この調査研究が標記の平成12年度厚生科学研究費補助金新興再興感染症研究事業で行われている、「乳幼児に対するインフルエンザワクチンの効果に関する研究」だということですが、この研究の内容について教えて下さい。1.この研究は3年計画でなされるということですが、開始はいつからですか。
2.交付決定額が26,000,000円ということですが、この予算の使途(何にいくら使用する等)を教えて下さい。
3.主任研究者が神谷齊氏で、分担研究者は廣田良夫氏(大阪市立大学教授)他1名の研究者と6名の小児科の医院の医師ということですが、これら全ての方を選定された際の基準と決定の経緯を教えて下さい。
4.この研究についての研究班の議事録をお見せ下さい。二.この研究の詳細なデザインについて
当該ペーパーには、研究概要として「乳幼児には従来実際にはほとんど接種はなされてこなかったこと。脳炎・脳症がワクチンによって予防できるかどうかのデータはないこと。乳幼児接種についてのワクチン接種の基礎データがほとんどなく、乳幼児の接種量と有効性・安全性についての知見もほとんど報告されていないこと。本研究は、ワクチンの有効性・安全性、有効な接種量等について、対象群との比較研究をするものであること」などが明記されています。
これを見る限り、現行のワクチンは有効性・安全性、有効な接種量等について、対象群との比較研究されたものがないこと、脳炎・脳症がワクチンによって予防できるかどうかのデータはないことを研究班みずから認めていらっしゃるようですが、この研究のデザインがどのようになっているのか、詳しく教えて下さい。1.この研究の協力者(被接種者・対象者)はどのように選ばれますか。
2.この研究の協力者(被接種者・対象者)には、この研究についてどのように説明されて協力をお願いされるのですか。
3.この研究の協力者(被接種者・対象者)に、副作用とみられる症状がでたと思われる場合はどのように対処されますか。また、責任の所在について教えて下さい。
4.この研究について、協力者(被接種者)は接種についての費用負担をするのですか。それとも報酬を受けとるのですか。
5.この研究の分担研究者のある医院では、「インフルエンザ予防接種の上手な受け方」として、接種の期日を指定し、2回目接種の費用を減額するので、厚生省の調査に協力していただくというやり方をとっているということです。調査・研究の段階で、調査の主体・目的・内容・方法を明らかにしないで接種を行なうことは、医療行為として許されないことです。この点について厚生省の見解を明かにしてください。三.脳炎・脳症とワクチンの関係について
この研究は、脳炎・脳症がワクチンによって予防できるかどうかのデータはないことを研究班みずから認めての研究のようですが、医療現場では「インフルエンザ脳炎・脳症にワクチンが効く」と公言し、乳幼児へのワクチン接種を積極的に進めている現場の医師も多いと聞きます。厚生省は98年から、厚生科学研究・新興再興感染症研究で、「インフルエンザ脳炎・脳症の臨床疫学的研究」班(座長森島恒雄名古屋大学教授)で調査を始られ、98年・99年と99年・2000年のシーズンの結果から、非ステロイド系抗炎症剤と呼ばれる解熱剤の使用を原因と認められ、インフルエンザ脳炎・脳症患者に対して11月15日に、ジクロフェナクナトリウム製剤の使用を中止されました。11月24日に行われた小児感染症学会に参加された複数の医師からの情報では、「インフルエンザ脳症とワクチンの関係(ワクチンで予防できる)」と述べた点については「撤回する」という委員長声明があったということです。今年の学会や最近の論文ではワクチンで脳症が防げるという趣旨の発表や論文は皆無とも聞きます。
しかし、現実には、医療機関で掲示されている日医ニュースNO.41 では、「毎年200人以上の子どもがインフルエンザ脳炎にかかります。残念なことにワクチンを接種していないからです」と、ワクチンで脳炎・脳症が防げると断定し、現実に医療機関でのワクチン接種に利用されているようです。四.新しいワクチンの開発状況について
この研究は、インフルエンザHAワクチンの有効性等を調査するとのことですが、現在新しいワクチンの開発はどのようになっていますか。吹霧ワクチンを一部に使用しているようですが、認可はなされているのですか。
以上の質問を踏まえ、以下の申入れをさせていただきます。2. 緊 急 申 入 れ
一.乳幼児に対するインフルエンザワクチンの効果については、「安全性も含めて、現在調査まさに調査・研究中であること」を、厚生省が国民、各自治体、日本医師会、報道機関に対して公表し、接種にあたっては、被接種者にこの点を徹底的に確認させて接種させること。
二.同様に、「脳炎・脳症がワクチンによって予防できるかどうかのデータは現在ないこと」を国民、各自治体、日本医師会、報道機関に対して公表し、接種にあたっては、被接種者にこの点を徹底的に確認させて接種の判断をさせること。
三.現在の調査・研究の方法の実態を明かにするとともに、研究協力者(被接種者・対象者)に対して、十分な説明と同意がなされるよう監視し、研究班に対して、研究方法ならびにその結果を情報公開させること。
以上添付書類
1.平成12年度厚生科学研究補助金 新興・再興感染症研究事業
乳幼児に対するインフルエンザワクチンの効果に関する研究〔連絡先〕
東京都目黒区目黒本町1−10−16
日本消費者連盟 古賀真子
EL03(3711)7766
FAX 03(3715)9378