2005年3月28日
2004日消連第71号

食品安全委員会
委員長   寺田雅昭 様
プリオン専門調査会
座長 吉川泰弘 様

日本消費者連盟
代表運営委員 富山洋子

抗議声明

2004年10月15日に厚生労働省・農林水産省から諮問された「我が国におけるBSE対策の見直しについて」に対し、05年3月28日、貴委員会プリオン専門調査会は答申書をまとめました。私たちは以前より食の安全については慎重に審議し拙速な結論を出すべきではない、と要請しておりましたが、特にBSEの全頭検査の見直しの項目について、米国からの牛肉製品輸入禁止措置解除の圧力に応えるタイミングで、以下のように内容としても科学的とはいえない今回の答申をまとめたことは貴委員会の存在理由そのものを疑わざるをえません。私たちはこの答申書案の撤回と食品安全委員会においてさらに慎重な審議を続けることを求めます。

1.今回の答申書の作成過程において「20ヶ月齢以下の牛をBSE検査から外しても全頭検査を実施した場合と感染リスクは変わらない」との結論が前提とされる審議が行われた。それは、貴専門委員会で、定量的評価ではデータ不足であることや各種の仮定に基づく評価しか行えない、という限界があるとみるや、定性的評価の手法を全面に出し(修正二次案05年3月11日)、若齢牛を外した検査と全頭検査を行った場合に、いずれも「無視できる〜非常に低い」という評価レベルとされ、若齢牛を外しても結果は変わらないのだ、という結論をなんとしても出そうとした。これは科学的評価とはいえず、あいまいな言葉による政治的なカモフラージュと言える。

2.3月28日の答申書には、BSE検査の後退に慎重論を唱える委員の付帯意見も付けられたが、そうした意見が今後、リスク管理機関に対して効果的に作用する保障はなく、結果的に今回の答申書は、玉虫色の表現をとりつつ国内のBSE対策を後退させるお墨付きを与えた。国内の各地のと畜場では全頭検査が今後も事実上続けられることから、この政策の見直しは米国の牛肉の輸入再開を導くための形式的なプロセスに他ならない。

3.日本におけるvCJD患者の死亡という衝撃的な事実がある現在、BSEの発症メカニズム、vCJDの感染ルートなど未解明なまま、全頭検査の後退を認めることは消費者の不安を増大させる。データ不足を補う意味でも今後全頭検査を続け慎重なBSE対策を続けるべきである。
 現在、BSE検査以外の、飼料規制、SRMの除去の徹底が全国的に完了していない。05年4月から始まる牛とそれ以外の動物の飼料分離の実施後に改めて検査体制を検討すればよいのである。
 今後、政治的に米国牛の輸入再開が始まれば、米国でのBSEのリスクが日本におけるvCJDのリスクの増大につながることになるが、それを食品安全委員会は座視することになり、今後その責任を問われることになろう。

4.食品安全委員会は、3月28日の答申案の上記の問題点をふまえ拙速に最終答申案とすることのないように求める。また今後この件で実施されるパブリックヒアリングやリスクコミュニケーションにおいては全頭でのBSE検査を求める消費者の声を尊重し、今後も、と畜される牛の全頭でのBSE検査、死亡牛のBSE検査の徹底を図ることをリスク管理機関に勧告すべきである。

以上