04年日消連第19号
2004年7月9日公正取引委員会
委員長 竹島 一彦 様〒162-0042東京都新宿区早稲田町75 日研ビル2階
日本消費者連盟
代表運営委員 富山 洋子申告書 下記の事実は、不当景品類及び不当表示防止法第4条に違反すると思料いたしますので、独占禁止法第45条第1項に基づき申告します。 早急に調査の上、厳正な処分を採られますよう強く要望します。
記 1 被申告会社 〒106-0047 東京都港区南麻布2−7−1
電話 0120−333−906
株式会社 ディーエイチシー
代表取締役社長 吉田 嘉明
2 申告事実@申告に至る経緯
標記の被申告会社は東京都港区において化粧品、健康食品等を販売している会社である。テレビコマーシャルでも大々的に宣伝を行い、コンビニエンスストアでも販売を拡大している。(添付資料1)
DHC社は、2003年5月30日、いわゆる健康食品「メリロート」による、肝機能障害の副作用を隠蔽し、社名公表されないことを奇貨として、厚生労働省の指導を無視して販売キャンペーンを続けた。消費者からの問い合わせにも「副作用が出たのは他社の製品である」かのごとく回答した上、2004年6月に独立行政法人国民生活センターの調査結果が出た後も、健康食品としての配合量基準がないことを逆手に取って、健康食品と医薬品ではその摂取形態が全く異なるのにもかかわらず、ドイツの医薬品の基準を下回ることを以て「安全宣言」を行い、6月28日には新聞に一面広告を出し、より一層の販売促進活動を行っている。
これら一連の行為は、副作用が出ている未承認医薬品を「水分の採りすぎによるむくみを引き締め、やせにくい下半身をすっきりさせる」として薬効をうたって「いわゆる健康食品」を販売するという、薬事法違反の行為である疑いが強い上に、不当表示防止法第4条の優良誤認を生じさせるものである。(添付資料2)A申告事実
健康志向が高まるなかで、食薬区分が明確でない中いわゆる健康食品が大ブームとなっている。その中に、むくみやダイエット対策などをうたったいわゆる健康食品として「メリロート」(有効成分クマリン)を含む健康食品が複数社より販売されている。
メリロートはスイートクロバー、セイヨウエビラハギなどとも呼ばれるマメ科のハーブである。大腿動脈と静脈の血管を拡張して血流をよくすることにより、むくみを改善したり、毛細血管の透過性を抑える作用と、リンパ管の吸収をよくする作用により、細胞周辺の水分増加をおさえられるとして、ヨーロッパでは医薬品として使用されている。
日本でも配合薬として服用量が設定されているが、薬効をうたわなければ食品として販売できるために、ダイエットなどを売り物に販売されている。(1)厚生労働省の対応
厚生労働省(以下 厚労省)では、2002年に中国製ダイエット食品による被害が続出したために、健康食品の摂取が原因とみられる被害情報が都道府県から寄せられたときは、被害の拡大防止のために、商品名、自治体名、事例概要を消費者に情報提供することになった。
2003年5月30日、厚労省が「肝機能障害の疑いがある健康食品」としてメリロートとブルーベリーエキスの2つの健康食品の商品名と原材料名、入院例を発表した。その際、厚労省は健康被害への影響情報が不十分であり、懲罰的と受け取られないために当該会社がDHC社である旨の社名公表をしなかった。社名公表をしなくても、商品名と原材料名まで公表することで、どこの製品かわかると判断したものである。(添付資料3)
ところが、DHC社は、厚労省が発表する直前に同省に呼び出されて、口頭で発表する旨の通知をされた際に、「前向きに対応し、結果を報告する」と回答しながら、なんら具体的予防策を採らないばかりか、「顧客からの問い合わせには自社製品であることを認めるように」という厚労省の指導に反し、「自社の製品であるかは調査中」として事実を隠蔽し、同6月11日まで「期間限定!健康食品キャンペーン」を続けて販売を促進した。(添付資料4)
厚労省はその後も同社に対して顧客からの問い合わせには自社製品であると認めるよう指導し、安全性資料の提出などを求めていた。しかし、9月になっても自社製品であることを認めないとの苦情が厚労省に寄せられていたことから厚労省は、10月31日(同)12月22日も)、ついに静岡県と新潟県で、DHC社の健康食品メリロートで黄疸がでる肝機能障害が発生したと社名公表した。(添付資料5)
(2)独立行政法人国民生活センターの調査
一方、独立行政法人国民生活センターは、メリロートを含む健康食品による様々な健康被害の相談等を受け、2003年12月から2004年5月まで、メリロートを含む「健康食品」11銘柄について、有効成分や表示に問題がないかを医薬品と比べて調査し、2004年6月にその結果を発表した。メリロート健康食品の成分量や品質、表示の実態、一日摂取量などを調べたものだが、結果はハーブ関連食品として薬効成分を含む健康食品の問題性を浮き彫りにするものであった。なかでも、DHC社を含む3社は1日摂取目安量の有効成分(クマリン)が医薬品の服用量を超えるもの(約2〜5倍)が3銘柄あった。
同センターは、容器包装や広告に消費者からみて予防や治療効果があると受け取られかねない表示が見られた(薬事法等違反の疑い)と論評し、消費者へのアドバイスとして、過剰摂取に注意をするよう等呼びかけた。
同センターは、業界へは、自主基準および品質管理の徹底、容器包装に有効成分の1日摂取目安量がわかる表示、過剰摂取についての注意喚起表示、消費者に予防効果や治療効果を期待させたり、誤認を与える可能性のある表示の改善などを要望し、厚労省と食品安全委員会へは、制度の見直し(植物成分抽出濃縮物の安全性の評価と食品衛生法の適正な運用、ハーブ利用の医薬品と食品(「健康食品」)の区分を再整理)と、表示の改善を要望した。(添付資料6)
(3)DHC社の対応
同センターの調査結果を受け、厚労省は自治体に各事業者の表示の改善を行うよう行政指導を要請した。医薬品の1日服用基準内の業者は概ね表示の改善を表明しているが、基準を2倍以上超えていたロート製薬は健康に重篤な問題を生じた例はないとしながら他製品への切り替えを発表した。
ところが、DHC社は、HPに「メリロートを利用のみなさまへ」とする説明文を掲載した。「DHCはハーブについて、最も厳しいヨーロッパの品質基準であるドイツコミッションEの企画を基準に配合量を設定しており、その最高量と比較しても3分の1程度で安全性に問題がない」としている。(添付資料7)
しかし、ドイツではあくまでもドラッグ(医薬品)としての基準であり、毎日常用する健康食品としての基準量ではない。DHC社は健康食品として、重篤な副作用被害例を起こしながら、度々の行政の指導も無視して販売促進を続けている。
社名公表後も医薬品基準の安全性を健康食品の基準に当てはめて安全性を強調して販売を続けているが、企業倫理のかけらもない行為と言わざるを得ない。
DHC社はHPや他の新聞広告、同社機関誌においても大々的にいわゆる健康食品を販売している。(添付資料8)(4)調査の要請
これらの行為は薬事法に違反する疑いが強いが、その効果において消費者を欺罔している疑いもある。行政サイドの指導を無視しマスコミの取材も拒否し、問題点を指摘されてもなんら改善をしないばかりか、むしろそれに対抗するかのように大きな販売広告を打って露骨に利益追求を行う企業姿勢は極めて問題である。医薬品と健康食品区別があいまいである点に乗じて、国民の健康に重大な影響を及ぼす健康食品を誇大かつ優良な表示をして販売し続ける姿勢は問題であり消費者として看過できない。
当該会社の製品について、不当表示防止法第4条2項に基づき、表示の裏付けとなる合理的根拠を示す資料の提出を求められるよう強く要望します。以上
添付資料
1 DHC会社概要
2 DHC社メリロート商品概要
3 厚労省 2003年5月30日報道発表資料 都道府県等から報告されたいわゆる健康食品に罹る健康被害事例について(お知らせ)
4 ニッポン消費者新聞 2003年6月15日、 通販新聞 2003年10月16日記事
5 厚労省 平成15年10月28日午後3時現在、都道府県等から報告を受けた事例「いわゆる健康食品」に健康被害事例、同平成15年12月22日追加報告
6 独立行政法人 国民生活センター メリロートを含む「健康食品」報告書 抜粋
7 DHC社 「メリロートをご利用のみなさまへ」、ドイツコミッションE英文資料
8 DHC社広告等 2004年6月28日 朝日新聞夕刊ほか