2004日消諸連第15号
2004年6月25日

公正取引委員会
委員長 竹島 一彦様

日本消費者連盟
代表運営委員 富山 洋子
東京都新宿区早稲田町75 日研ビル2F

独占禁止法改正(案)の概要及び独占禁止法改正(案)の考え方に関する意見

独占禁止法は、「経済憲法」と言われ、日本の経済と私たち消費者に深く関わっている重要な法律ですが、1977年に大幅な改正が行われてから後も、談合・カルテルが繰り返され、その結果、消費者は、多大な損害を被っています。また、課徴金支払い命令に関する不服申立が急増するなど、現在の独占禁止法は、実効性に欠けています。

小泉首相は、2001年5月、「市場の番人たる公正取引委員会の体制を強化し、21世紀にふさわしい競争政策を確立」すると所信表明し、2002年3月には、独占禁止法の措置体系及び公正取引委員会の権限のあり方について閣議決定されています。

このような状況を受けて、「独占禁止法研究会」は、「独占禁止法の措置体系及び独占・寡占規制の見直し」について検討し、2003年10月に報告書をまとめました。

 この報告書に基づいて、2003年12月に公正取引委員会が打ち出した「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律改正の基本的考え方」(以下、基本的考え方)については、多少の問題点はありますが、執行力・抑止力の点で不十分である現行法の措置体系の見直し、及び不可欠施設を利用した参入阻止行為に有効に対処できるようにした点を評価できます。

しかし、この改正案が、経済界や自民党独占禁止法調査会に反対され、159国会には、提出されなかったのは、誠に遺憾です。自民党は、先の総選挙の政権公約に、「独占禁止法改正案を2004年中に国会に提出する」と明記していましたので、その公約は、必ず果たすべきです。

次期国会提出に向けて、5月14日に、自民党独占禁止法調査会で取りまとめられ、検討を続けるとされている、「独占禁止法(案)の概要及び独占禁止法改正(案)の考え方」(以下、概要(案)及び考え方という)につきましては、下記のように意見を述べます。

 以下の項目について意見を述べます。触れていない項目については、「概要(案)及 び考え方」に賛成であり、実効性のある独占禁止法の改正が本年中に実現することを、 強く求めます。

1, 課徴金制度の見直しについて

1)算定率を、違反行為防止を促す水準に引き上げるという考え方に賛成ですが、現 行の数値の2倍程度とするという算定率は、その目的を達成するための最低の水準であ ると考えます。
従って、独占禁止法が国会に提出・審議される過程でこの水準がこれ以上緩やかにな らないことを強く求めます。
・繰り返しの違反行為に対する5割程度の加算及び課徴金算定期間の上限を現行の3 年から4年に延長することにも賛成です。

2)対象については、@入札談合、A価格・数量・シェア・取引先を制限するカルテルと私 的独占、B購入カルテルに加えて、C「景表法違反の不当表示」、D「再販売価格または、再販 売価格表示の拘束」も課徴金の対象にすることを求めます。
C及びDについては、判例上その違法性が確立しており、消費者の犠牲のもとに事業 者が広く利益を得る行為であることから、課徴金を課して違反を抑止していく必要があります。
但し、不公正な取引方法に属する違反であるため、課徴金の算定率は、@、A、Bに 比べて算定率は低くします。

2,審判手続き等の見直しについて

1) 違反事件の審査における利害関係人に対する適正手続の保障という観点から、第三者機関を設け、利害関係を有する申告者の申し立てにより公正取引委員会の不問処分を再審査し、違反の疑いがあると判断された時は、再調査の勧告をするという不服審査制度を設けることを求めます。

2)消費者利益を害する不公正な取引方法に対する消費者団体の差止請求訴訟制度の新設を求めます。

3,独占・寡占規制の見直しについて

昨年10月に出された報告書及び12月に発表された基本的考え方には盛りこまれていた「独占・寡占規制の見直し」、つまり独占・寡占規制を強化していくための措置が、この度提示された「概要(案)及び考え方」から削除されていることに対しては、異議を申し立てます。
電線や通信回線を持つ企業が新規参入の事業を妨げた時などに、速やかに排除する独占・寡占規制の強化は、独占禁止法改正の重要な柱です。
この重要な柱を取り下げることのないよう強く申し入れます。

以上