2010年1月14日

消費者庁「健康食品の表示に関する検討会」 ヒアリング資料

「健康食品の表示について」

NPO日本消費者連盟 事務局長 山浦康明
(食の安全・監視市民委員会 事務局長も兼務)
1)はじめに
「健康食品について」
 健康食品には栄養成分の機能の表示ができる「栄養機能食品」(ビタミン、ミネラルなど)と「特定保健用食品」(整腸作用や体脂肪調整など)、があり、とくに特定保健用食品(特保)は身体の機能の改善を謳うため、政府の許可を得る必要があります。これまでに883件の食品が許可されています。栄養機能食品はビタミンの含有量など規格基準や表示基準はありますが、政府の承認は不要です。それ以外にもいわゆる「健康食品」が2万から3万点ほど販売されていますが、中にはいいかげんなものも多く、保健の機能や栄養成分の機能を積極的に表示してはならない、という形で規制されています。特保の市場規模は約6800億円、健康食品の市場規模は約1兆1350億円にものぼります。

 健康食品がこれほど増えてきたのは事業者が差別化食品を作り利益を拡大しようとする意図があったからだといえます。企業のマ−ケッティングにより消費者は2000年代に入って、食生活への不安や高齢化による身体の変調などの症状の改善を求めて大量に購入するようになり、無駄な出費を誘導されているといえます。
 消費者が健康を保つためには健康な生活を送り、健全な食品を摂ることが重要です。また身体の病気からくる症状に対しては医学的に対処する必要があります。
企業のコマーシャルに安易に乗っかり、お手軽に健康を手に入れることができると思うことは間違いです。日本消費者連盟としては基本的に「健康食品」「特定保健用食品」などは不要だと考えます。食育はこうした傾向を正すためにも重要です。

*参照 「食の安全・監視市民委員会」意見書 2004年8月23日(別添1)、2004年12月17日(別添2)
*日本消費者連盟もそのメンバーである「食の安全・監視市民委員会」は2003年12月、2004年2月、日本雑誌広告協会、ジパング倶楽部、朝日新聞社「暮らしの風」、毎日新聞社「毎日婦人」などに対して「健康食品」の広告掲載について申し入れを行い、担当部署の改善を引き出しました。


2)いわゆる「健康食品」の問題点
・健康食品による健康被害、高額商品による消費者被害を防止するため、薬事法を厳正に適用すべきです。
・一定の医薬品的効能を持った健康食品は、少なくとも特定保健用食品などの許可制にすべきでした。
・いわゆる「健康食品」では一切の効能表示・広告を禁止すべきですし、違法広告を厳しく規制する必要があります。こうしてみると「健康食品」という概念を認め、販売を認めること自身が問題となります。


3)栄養機能食品の問題点
・ビタミン、ミネラルなどの補充のためとして栄養機能食品が販売されていますが、規格基準を満たせば、許可申請をすることなく、「ビタミンC」などの栄養素の一日摂取目安量を記載したうえで機能を表示することができます。
 しかし、錠剤・カプセルなどでは過剰摂取の可能性があり、また医薬品との相互作用の恐れがあります。日本人は平均的にビタミン、ミネラルは不足していませんが、無用な栄養機能食品を高額な価格で購入し無駄をしている可能性があります。


4)特定保健用食品の問題点
・特保制度は、いいかげんな健康食品を規制するという機能を持っているという側面はあるものの、特保制度が、国のお墨付きを与えた健康食品であるというステータスを与えることとなり、企業の販売促進に利用され、消費者が無駄な出費を強いられる、という問題点があります。
・特定保健用食品に対する食品安全委員会の安全性評価においては、申請事業者の安全性試験のデータを審議していますが、当該の食品の機能性に着目した動物実験が中心です。しかし、もし、この新規食品に毒性の恐れがある場合には、人間の体内動態を「毒性学」の視点から検証する必要がありますし、この新規食品の栄養素などの関与成分が他の栄養素や医薬品などと相乗作用を引き起こすことも含めて、身体に引き起こす影響を包括的に検討する「人間栄養学」も必要ですが、現在そうした検証は行われていません。とりわけ「エコナ」のようにグレーゾーンのものについては予防的な観点から、慎重な評価をし、管理する必要があります。
・現行のシステムでは、トクホの許可が下りると、再評価されることなく販売が続けられています。一定期間ごとに再評価する仕組みを設け、また緊急性がある場合には消費者庁がリーダーシップをとって許可の取り消しをすることができる制度にすべきです。


5)条件付トクホ制度について
・「効果が科学的に証明されない健康食品」などという制度ができたことは問題です。これは「健康食品」を社会的に是認してその販売を放任することにつながりますし、不当表示、不当な商品を野放しにすることになります。この制度は撤廃すべきです。


6)表示制度について
*参照 別紙「食品表示法制定への提言」食の安全監視・市民委員会2009年6月(別添 3)

・食品表示制度は、「食品衛生法」、「JAS法」、「景品表示法」、「健康増進法」、「計量法」、「薬事法」など様々な法律で規制されており、縦割り行政の弊害が施策の実施にも反映しています。消費者・事業者にわかりやすいものとするため、食品表示法を制定し、食品表示制度を一元化する必要があります。

・わかりやすい表示制度とするために消費者の視点を入れる必要があります。

・規制は統一的にする必要があります。

・表示違反に対する制裁強化
「是正の指示」「指示に従うよう命令する」などの手順を踏みそれでも是正されない場合に公表や懲役、罰金が課せられる制度では予防措置として期待できません。事業者の違反に対しては直ちに是正させ、その事実を公表し、罰金を科す必要があります。

・不当な食品表示広告等に対して差止請求ができるようにする必要があります。

・回収命令・廃棄基準を導入する必要があります。