2006年11月12日
(第26回 日本フッ素研究会・全国集会での報告より)
ファースト・フードのフッ素加工紙使用と問題点

特定非営利活動法人日本消費者連盟 水原博子

1.はじめに
 2006年の夏にNPO法人日本消費者連盟は、2年ほど前大手ファースト・フードの日本マクドナルド社とモスバーガーフードサービス社が、ポテト及びハンバーガーなどを包む食材用紙(耐油紙)に片面フッ素コーテイングしてある用紙を使用していたということを知りました。
 そこで、2006年8月1日付06日消連第21号「食材用紙(耐油紙)についてお尋ねします」という公開質問状を、次の7社に文書にて発送し、現在におけるフッ素加工紙の使用状況について調査を始めました。

7社 ●日本マクドナルド(株)
   ●(株)モスフードサービス
   ●日本ケンタッキー・フライド・チキン(株)
   ●日本サブウェイ(株)
   ●(株)ロッテリア
   ●ファーストキッチン(株)
   ●(株)日本ウェンデイーズ

 文書回答を求めた後に、電話での聞き取りによって回答内容の補足と確認を行いました。
 その結果、7社中3社は現在もフッ素加工紙を食品包装に使用していることがわかりました。2社は使用していません。残り2社のうち1社は回答なし、もう1社は使用か非使用か不明回答でした。

2.公開質問状に対する回答内容の報告
(1)使用している会社について
 @日本ケンタッキー・フライド・チキン(株)
 文書回答:「包装資材の一部に、耐油紙を抄造する際にフッ素系化合物である耐油剤を抄きこんで製造された耐油紙を使用している。製造メーカーが行った加熱試験によれば、100℃/10分以下の使用であればフッ素化合物が揮散することはないが、当社で行った電子レンジによる再加熱も含めた検証の結果、これらの包装資材が100℃/10分を超える環境に置かれることがないことを確認している」。
 電話応答:旭硝子の耐油紙を使用している。フッ素を使用していないものは、実験使用してみたが耐油性で効果が落ちコストもあがる。効果とコスト面からフッ素加工紙を使用、使用中止の具体的な検討はしていない。国の安全基準に従う。

 A日本サブウエイ(株)
 Bファーストキッチン(株)
 ※両社は、サントリーグループの一員としてサントリーグループの品質方針に従うとして、同一の回答。
 文書回答:「一部の商品(フレンチフライポテト及びフライドチキンの商品に限定し、油の染み出し予防のため)に使用。これは、厚生労働省の認可基準値を満たした製品で、法的には問題ない。一方で、フッ素コーテイング剤の助剤として含まれるPFOA(パーフルオロオクタン酸)に発がん性の疑いが明らかになり、弊社で使用している包装紙からの人体への影響を回避しなければならないと判断した場合は、ノンフッ素包装紙もしくはPFOA及びその類縁物質を使用していないフッ素耐油紙への変更を行う。代替素材の調査は別途進めている」。
 電話応答:(ファーストキッチン(株))フッ素加工紙は、10年ほど前から使用している。旭硝子が耐油剤として抄きこんだ製品「アサヒガード」で、100℃/10分以下の基準であれば問題ないと考えてきたが、このような時代だからもう止めた方が良いのではないかという社内の意見もある。アメリカでフッ素成分が現在のものより75%カットされた耐油剤が開発された。2007年8月より日本で使用できるようになるので、もうフッ素耐油剤を使わないか75%カットのものにするかの判断中である。

(2)使用していない会社について
 @(株)モスフードサービス
 文書回答:「フッ素加工した包装資材はない。2年ほど前まで、耐油紙(ポテト袋やモスチキン用内袋等)にフッ素系材料を使用していた。当時はフッ素系しかなかったが、現在はメーカー(リンテック)が開発した非フッ素系耐油材を使用した耐油紙に製品化と同時に切り替えた。この非フッ素系耐油紙のポリエチレンラミネート加工は牛乳パックやお酒の紙パックなど液体を入れる紙パック関係はほとんどがこれである。モスでは、紙コップ、バーガー内袋、ドッグ内袋、ライス内袋のラミネートやゴミ袋等に使用されている。紙コップのメーカーは東罐興業で、日本の紙カップメーカーのトップである」。

 A(株)日本ウェンデイーズ
 ※統括しているグループ本社の(株)ゼンショーより回答
 文書回答:「フッ素コーテイングの素材を使用していない。ドリンクの紙コップ及びハンバーガーの包装紙についてはポリエチレンコーテイングのものを使用している。

(3)使用不明の会社について
 日本マクドナルド(株)
 文書回答:「包装紙について食品衛生法の器具・容器包装の規格基準に適合することを製品仕様書及び検査成績書の確認をもって採用している。特に包装紙に関してフッ素についての見解はない」。
 ※電話においても文書回答の域を出なかった。食品衛生法に違反しない確認の下にフッ素加工紙を使用することもできると解釈することもできる。

(4)(株)ロッテリア
 文書回答なし。電話応答で回答の意思表示があって、再度、質問状をFAXで送付。回答なし。

3.フッ素加工製品の製造過程で使われる化学物質の毒性
●ペルフルオロオクタン酸(PFOA)
●ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)
 これら2つの有機フッ素化合物は、環境省の02年度化学物質環境汚染実態調査結果では、調査した20か所の湖沼や河川など全ての調査地点から検出されています。

調査結果を報じた04年2月10日の毎日新聞によると、「肝機能障害の原因の毒性を示す研究データもあり、環境省は有害性について調べる。2物質は鍋のフッ素樹脂加工やはっ水剤の原料として広く使われてきたが、00年から業界が製造・輸入を自主規制している」となっています。

 また、既にこの頃、2物質は前立腺がんを増加させ、環境ホルモンとして作用する疑いももたれていること等の有害性を、本研究会の秋庭賢司さん、南雲明男さんが指摘されています。
 米国の化学大手デユポン社が製造するテフロン加工調理器具に使用されるPFOAの有害性をめぐっては、同社と米環境保護局(EPA)が対立してきました。05年6月、EPA諮問委員会は、発がん物質だとするリスク評価案をまとめました。
 日本では、環境省が「現時点では人体や環境へのリスクを評価する予定はない」としています。

【資料】
 2004年6月24日、米環境調査非営利組織エンバイロメンタル・ワーキング・グループ(EWG)は、EPAがペルフルオロオクタン酸(PFOA)の調査に踏み切ったと発表。フッ素化合物がどのくらいの濃度でヒトの血液中に存在するか見極めるための調査という。EWGによると、自然界で分解されないフッ素化合物は、着色剤やカーペット保護剤、衣服、ファーストフードの包装容器、クリーニング剤、布地、紙製品と幅広く使用されている一方、がんやその他の健康被害に関与しているという。(04.7.1 ニッポン消費者新聞)